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心霊

ねびたさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

見える系の友人
短編 2022/10/14 13:17 1,019view

私が学生の頃、ひとり暮らしをしているアパートに友人数人が連れ立って遊びにやって来ました。

友人達をこのアパートに招き入れたのはこの日が初めてで、皆、持ち寄ったお菓子を広げながら部屋のあちこちを見渡し、置いてある本やらCDやらぬいぐるみやらを見て楽しそうに談笑していました。

そんな友人達を横目に私は飲み物を用意するためにキッチンへ。すると1人だけ、他の友人達と様子が違い、パーティションで仕切られたベッドの方をチラチラと気にしていました。ときおりパーティションをずらして覗き込むような仕草も見せていました。

実は彼女はいわゆる「見える系」で、霊感があることは私も知っていましたが、まさか何か見えるのか!?と私は彼女の様子に釘付けになってしまいました。

でも私自身は霊感とは無縁で、ここに住み始めてからすでに数ヶ月が経過していましたが、今まで何もおかしな事は起きていませんでした。それに、このアパートはとても気に入っていて引っ越すなんて嫌だし、そんなお金もありません。「もし何か居たとしても自分には見えないのだから。何も聞いちゃダメだ!知らない幸せがある!」などとぐるぐると考えを巡らせ、自分に言い聞かせもしてみました。しかしどうにも我慢ができず、とうとう「何が見えるのか言って」と彼女に向かって言ってしまいました。

彼女は怖がりな私の性格を気遣ってか、とても申し訳無さそうに、「そこ(ベッドの足元あたりを指差して。)に、スーツを着た男の人が立ってる。」と。私達はテーブルに広げたばかりのお菓子を急いでかき集め、逃げるようにそのアパートを後にしました。

それ以降、怖くて1人でアパートに入ることができず、後日、家族に付き添ってもらい必要なものだけを取りに帰り、早々にそのアパートは引き払いました。

私はこれを期にひとり暮らしを諦め、片道2時間かけて元の自宅から通学をすることに。ひとり暮らしをするにあたり費用を負担してくれた両親からはさんざん怒られ呆れられ、私のひとり暮らしデビューはなんとも悲しい結果となりました。ちなみに、件の見える系友人ですが、大人になった現在でも友人です。

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