私の体験したプチ怖い話。
親父の部屋にはとある日本人形が置いてある。
昔からテレビゲームをする時は、親父の部屋のテレビを使っていたので、
その日本人形とはほぼ毎日顔を合わせていた。
鉞を手に持ち、金太郎風の日本人形の傍らには、兄貴の名前が書かれたネームプレート。
兄貴が小さいときに購入したであろう、その日本人形はじっと動かずに私がゲームをするのを見守っていた。
当時の私は寝る前にトイレをすませるため、
夜中にトイレに起きることはほとんどなかった。
その日もいつもと同じようにトイレをすまし、布団に入り、眠りについたのだが、
ふと目を覚ますと夜中の2時、ちょうど丑三つ時。
その時に猛烈な尿意を感じた私は、
寝室を出て、居間を通り、台所を抜けトイレへ駆け込んだ。
ほっと一息つき、壁に貼られたカレンダーを見ながら用を足していると、
理由は不明だが、猛烈に後ろを見たくなってしまった。
そこで思い出す。今は丑三つ時。
幼い私でもその時間は何かとまずいと理解している。
しかし後ろを見たい。どうしても見たい。確認したい。
そのような葛藤の末、私はふと後ろを見てしまった。
するとそこには、親父の部屋にいた日本人形がトイレの扉からひょっこり顔を出してこちらを覗いていた。
手には鉞を持ったその日本人形。動くわけでもなくじっとこちらを見ていた。
数秒だろうか、数十秒だろうか、しばらく動けなかった私は、
まずいものを見た、とふと我に返り前を向き、覚悟を決めもう一度後ろを見た。
…が、そこには日本人形の姿はなかった。
私は一目散に布団に戻り、目をつむりそのまま朝を迎えた。
今も実家にはその日本人形がある。
長期休暇で実家に帰ると、寝ている時に、ギィ、、ギィ、、と何かの音がするが、
これは日本人形が私を探しているのか、悪い何かが家に入らないように見守ってくれているのか・・。
大きな病気も怪我もなく所帯を持つことができたので、
悪い何かから私を守ってくれていたということにする。























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