背後にへばりつくもの
投稿者:あらや (4)
怖い話のパターンに、怪異の方からコンタクトを取ってくる、というのがある。
「夢の中で見た景色と同じところを歩いていたら張り紙に『夢で見た場所』と書いてあった」とか「いつも通る場所で襲われる夢を見て、怖くて友達とその道を通ったら、夢の中で襲ってきた男と同じ格好の人が『夢と違うじゃねぇか』とすれ違いざま呟いた」とか。
自分の姉の友達も、中学生の時似た経験をしたという。
ある晩、横向きに寝ていて金縛りに遭った友達は、背中に人の気配を感じた。
ナニモノカが自分の背中にへばりついている、という自室ではありえない感覚に恐怖を感じた友達の耳元で、馬鹿にしたような男の声で
「怖いだろ」。
姉のところに友達が泊まりにきた夜にそれを聞いて、恋愛場にしにもオカルトにも食いつきのいい高校生だった姉はキャーキャー盛り上がり、当時中学生だった自分も一緒に楽しんだ。
その数日後、夜いつも通りに寝ていたらふと目が覚めた。夜中に目が覚めることはあまりないので珍しいな、と思いながらまた寝ようとした時、背中にナニモノカの気配を感じた。
ぴったりとへばりつくそれは人の形をしているようで、まさか姉の友達が経験したアレか?と一瞬肝を冷やした。
が、自分は金縛りにあってなかったので、体が自由に動いた。なので、その体制のまま体を背面に動かして、そのナニモノカをベッドから押し出そうとした。
確かに人の形をしたものが背中に当たり、押し返すような弾力も感じる。一瞬家族かと思ったが、当時姉の部屋を通らなければ入れない北西の自室に、夜中に忍び込んでベッドに潜り込むような家族はいない。
ベッドは掃き出し窓にくっつけて置いてあったので、背中に力を入れて掃き出し窓に向かってナニモノカを押し出した。
ナニモノカは手を肩にかけたりして抵抗したようだが、ぺたり、と背中にカーテンと掃き出し窓がくっついた感覚に安心してまた眠りについた。
次の日の朝、布団を干そうと掃き出し窓を開けると、バルコニーのトタン張りの床が楕円の形に凹み、さらに外を見ると庭木の二階に届く枝が数本折れていた。
バルコニーの床が抜けていたわけじゃないので、床の凹みと枝の関連は分からない。
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