真夜中のハッピーバースデー
投稿者:星みん (1)
とある日、私は一人暮らししていた自宅から実家に帰省していた。
私の就職後、私が使用していた一階の部屋は物置部屋として使われていた。日のあまり当たらない私の部屋は昼間でも暗く、そこから発せられる独特な雰囲気が、実家の一階に妙な空気を漂わせているように感じた。
そんな妙な空気を感じ取った私は、その日母に
「なんか私の使ってた部屋、怖いね。変な感じがする。」
と伝えた。
しかし、母は気にすることはないと笑って答え、その日私は私の部屋の隣の仏壇部屋で眠ることになるのであった。
目に見えない怖い存在を意識しすぎると良くない、そう思った私は出来るだけ感じ取った妙な雰囲気をあえて感じないように、布団へ潜り眠りに落ちた。
浅い眠りが続いた後、目を開けると、豆電球の光が部屋を照らし、私の目には部屋にあった姿見の鏡に自分の姿が映った。
何かすごく嫌な気持ちがした。ざわざわする気持ちに気づかないふりをしようとしたが、次の瞬間鏡に映る何かが動くのがわかった。
布団で眠る私の背後のドアが、スーッ…と開いたのだ。
寒い空気が私の背中へと伝わる。
そして、スルーしようとしていたあの妙な空気が私の部屋へと入ってくるのを感じた。
何かが来る、来ている。
私の心の中にはその恐怖が込み上げる。
それを必死に抑え、目を瞑ろうと瞼を下ろした瞬間だった。
母がトイレのために、1階へ降りてきたのだ。
あぁ、これで1人じゃない。
私は安堵を覚え、すぐに母を呼び、この部屋はおかしいと再び告げた。
「大丈夫、大丈夫。気のせい気のせい。変なこと考えないで寝なさい。」
母は私にそう言い、その部屋を後にしようとドアを開けた。
次の瞬間
ハッピーバースデートゥーユー…♫
何が起きたか?
仏壇の横にある棚から音が鳴った。
私の背筋にはジワジワと恐怖が掻き立て、手足の先は熱を失った。
去ろうとした母は足を止めた。
そして、棚を開き、一つの箱から音が鳴っていると、その箱を開いた。
そこには、一枚のバースデーカード。
誰も触れることができない場所にあったそのカードは、母が私のために使おうと用意したものだった。
♫〜ハッピバースデートゥーユー
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