まどろみのなかに訪れた恐怖
投稿者:九尾 (1)
18歳の時のこと。
その日学校が休みだった私は、朝食なんて食べなくていいや、と惰眠をむさぼっていた。
そして、ふと目が覚めた。
携帯で時間をみると、10時ごろ。本当は起きたほうがいいのだろうが、その日はもう少し寝ていたいと思った。
携帯を閉じ、もう少し眠ろうと目を閉じた。
その後、15分ほど経っただろうか、枕もとからバタバタと足音がした。ずいぶんとうるさい。
家事をしている母だろうか、せっかく気持ちよく寝ているのに、邪魔な足音だと思った。
「お母さん、うるさい~。」と文句をつけた。
そして目が覚めた。「ちがう。」
18歳、住み慣れた実家を離れ私は独り暮らしをはじめたのだった。寝具はロフトベッド、足音が枕もとから聞こえるはずがない。
すっかり覚醒した私は、冷や汗が止まらないのがわかった、なのになぜか今度は、体が動かなくなっていることに気が付いた。
金縛りだと思った。
ふと前を見やると。長髪の白髪交じりの老婆が、後ろ向きで私にまたがっていた。
声を上げようとしたのに、でない。老婆は私の上でまたがったまま跳ね、そのたびにみぞおちを打たれたような気持ち悪さが走った。
「殺されるかもしれない」直感的にそう思った、でない声を何とか絞り出し、
「誰だあああああああああああ!」
と叫んだ。老婆は”ぬぅっ”とこちらを振り向き・・・
そしてすうっと消えたのだ。
あれから10年以上たち、私はあの時のことを独り暮らしを始めたことによるストレスと解釈しているが、みぞおちの気持ち悪さを今でも思い出す。
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