本当の幽霊は背後じゃなく・・・
投稿者:HOY (1)
短編
2022/07/24
19:04
1,303view
これは私が看護師として病院で働いていた時の話。まだ新人だった私は業務に慣れることに精一杯。でも徐々にできる仕事も増えてきて、ついに夜勤に入れるようになった。
はじめての夜の病院。実習でも見たことのない世界。好奇心旺盛な私は、怖いよりも少しわくわくした気持ちとドキドキの感情が混ざっていた。初めての時には先輩が一緒についてきてくれ、消灯後の巡室の仕方を教えてくれた。患者さんの安否確認。そして、患者さんを起こさないように、音をあまりたたないようにと意識して勤務にあたった。
1人で夜勤がこなせるようになった頃、いつも陽気に話しかけてくるいい年をした男性がいた。その人の部屋に入った時、男性はいなかった。あれ?と思って振り返った瞬間、『わぁ!』と驚かされた。自分の心臓がバクバク言っているのかよくわかる。でも他の患者さんも寝ているのだから、もちろん驚いても声が出せない。男性は「やったぞ!」と言わんばかりの満面の笑みだった。
それ以降トラウマとなり、その人の部屋以外の巡室に行く時にも、どうか熟睡していますようにと心から祈り入っている。
後日、「この前はごめんの、怖かっただろ。」といつものように話しかけてきた。「でものぉ‥‥本当の幽霊は、背後じゃなくてー‥‥‥‥‥‥天井におるものなんよ。」にやっと笑っていた。もう巡室なんて怖くてできない。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 8票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。