半透明の男

僕が高校生だった頃の話です。

その日は部活で物凄く疲れており、部活が終わればすぐに家に帰って晩御飯を食べ、早々に入浴も済ませていつもより早い時間に就寝しました。疲れていた影響か、睡眠にはすぐに入れたように思います。

しかし、途中まで気持ちよく眠っていたのですが、急に布団の上に何かが伸し掛かる感覚があり、少し意識が戻ってきました。当時我が家にはペットの犬を飼っており、犬が僕の布団の上で眠っているのかなと思い最初は気にしていなかったのですが、なんだか徐々に重みが増していき、呼吸が苦しくなってきます。

耐えきれなくなった僕は犬を払いのけようと目を開け体を起こしたのですが、そこにいたのはなんと犬ではなく、生気のない表情で私を見下ろす半透明の男でした。

最初はぎょっとしてしまって言葉が出ませんでしたが、「なんで疲れて爆睡していたのに邪魔しやがったんだ」となんだかどんどん腹が立ってきて、何を思ったか僕はその男に頭突きを決行（今考えても本当に謎）。すると男はシュウゥゥゥと消え去ってしまい、頭突きは空を切ってしまいました。

僕の頭の中は「？？？？？？」になってしまい混乱状態でしたが、少し冷静になってくると「あれってひょっとしていわゆる心霊現象なのでは…」と怖くなってしまい、その後はしばらく眠れなくなってしまいました。

そもそもあの男は誰だったのだろうと今でも不思議に思いますが、あれ以来遭遇はしていません。そして、僕も何故頭突きをしにいったのかもわかりません。