赤い服を着た女の子
投稿者:古金 (1)
小学校、高学年の頃です。7月の蒸し暑い夜でした。
当時祖父母の家に預けられていた私は、明るくなりだしてまもない時間に目覚めて、トイレに行きました。
祖父母の家はトイレのすぐ隣に祖母の部屋。
また、トイレから真っ直ぐ、廊下を渡った突き当たりに仏壇のある部屋があります。
その部屋は普段客間になっていて、夜は網戸にしておけば縁側から涼しい風が入る、天然の冷房でした。
暑くないようにとの配慮で、夏に泊まりに行くときは必ずその仏壇部屋で寝かされたものです。
そして、トイレから仏壇部屋に戻ろうとた私は廊下の先に誰かがいることに気付きました。
廊下の突き当たり、仏壇部屋のちょうど真横のスペースは、段ボールなどを重ねて置いているところです。
その段ボールの上にちょこんと、誰か腰かけていました。
髪はざんばらに胸元まで伸びきり、表情は窺えません。
服は着物なのか、ワンピースなのか定かではありませんが、赤い、女物の服装だったと思います。
私はその誰かを女の子だと思いました。
赤い服を着た女の子が段ボールに座っている。
私を見ている。
そう思った瞬間、暑さでベタつく汗が一気に引き、一歩も動けなくなりました。
段ボールの上に何かのっていて、たまたま人の形に見えているだけ。でなければ、おかしい。
そう思い、勇気を出して一歩、踏み出そうとした時です。
その顔の窺えない女の子の口元が、裂けるように笑みの形になりました。
私が仏壇部屋に近づくのを待ち構えている!
私はたまらず、トイレ横の祖母の部屋に入り、そのまま祖母の側で起こされるまで眠りにつきました。
目覚めてから確認すると、段ボールの上には何もありませんでした。
祖母に着物か何か置いていたか聞いても、知らないと答えられました。
依頼私は、泊まりに行く時は仏壇部屋で寝るのを断るようになりました。
一度きりのできごとで、あの子が誰だったのか、見間違いか夢だったのか。不思議な体験でした。
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