赤いトンネル
投稿者:ナカジーマ (3)
これは私が小学4年生の夏に体験したお話です。
私の地元は北陸の田舎で、町のほとんどが田んぼと山で構成されているような所でした。いつも放課後になると友達と鬼ごっこをするか川で釣りをするかして遊んでいました。その中でも一番やっていた遊びが探検ごっこです。
探検ごっこというのは、ただ町の中でまだ行ったことの無い所へ行くというだけのものです。しかしこの頃の私たちにとってこれが最高の遊びでした。
その探検ごっこで私は友達のTさんと一緒に旧Mトンネルへ行く事にしました。旧Mトンネルというのは昔は使われていましたが今では新Mトンネルが出来て立ち入り禁止となっていました。そこは有名な心霊スポットで女性の声が聞こえるといった在り来たりなものから、スマホに雑音が入るなど様々な心霊現象が起きる場所でした。
私とTさんは怖さ半分、好奇心半分でその場所へと向かいました。旧Mトンネルまでの道は途中から舗装がされてなく、歩いて向かうことにしました。
トンネルまでの距離は500mほどでしたが、私たちにはそれ以上の長さを感じさせました。
ある時トンネルが見えてきました。「やっと着いたね」Tさんに話しかけたその時です。Tさんが顔面蒼白になり、突然涙を流し出したのです。
私は訳がわからず、どうしたのかと聞きました。するとTさんはゆっくりと前を指さします。その人差し指は真っ直ぐに旧Mトンネルに向いています。
私が恐るおそるその先を見るとそこは「赤」でした。
旧Mトンネルの入り口の前が真っ赤な血で染まっていたのです。血を見る経験がほとんどなかった子供の私でもそれはなぜか血だとすぐに判断できました。
その血だまりの広さは半径3mほどあり、何かが腐ったような異臭もしています。
私はその血だまりを見た瞬間に後ろへ走り出していました。Tさんも僕に続いてすぐに逃げ出しました。なぜかその場からすぐに離れなければという危険を感じたのです。
その日はお互いこの話をすることなく家路につきました。次の日に二人でその血だまりについて話し合ったのですが答えは出ず、その話をすることはだんだんと減っていきました。
そして今この文章を書いている私はある恐ろしい憶測を考えてしまいました。それはもしかしたら旧Mトンネルには何かが住んでいるのではないか。山の動物を殺し、食べて生活している何かがいるのではというものです。
そう考えると私とTさんはもう少しトンネルまで近づいていたらどうなっていたのか。こう考えると私は震えが止まらなくなるのです。
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