頭を返してください
投稿者:ainathestart (3)
私は九州の田舎で生まれ、幼少期を過ごしました。里山の農業を生業とした集落。
昔話に出てきそうな風景風景が広がっていました。村の一つ山の向こうには、それなりに人が多く住む街がありますが、山のこちらでは別世界。
そんな村には古くからある墓地がありました。
数は少ないものの、代々続いてきた家の墓は大きく、幼かった自分にとっても「家」という一族の大きさを感じさせるに十分でした。
その墓地の周りにはお地蔵様が7、8体ほど横に並んでいました。
その周りにまた小さなお地蔵様がたくさん集まっていました。
私が小学生ごろ、いつの間にかお地蔵様の頭がいくつか無くなっていました。
私は気にも止めていませんでしたが、大人たちの間では大事だったようです。
そのうち、全ての頭が無くなっていきました。
大人の話では、山の向こうから盗みに来て、骨董品として売買しているのはないか、ということでした。
背景や理由は分からずとも、頭なしのお地蔵様が並んでいる道を毎日通るのが恐怖で仕方なくなっていきました。
村のおじさんがくも膜下や事故など頭部の怪我などが連続しておき、お地蔵様が頭を探していると噂が広まるようになったからです。
私が大きくなって村を離れる頃には、開発が進んで村の墓地もすっかり整地され、あのときの面影はなくなりましたが、今もあのときの不気味な光景が目に焼き付いています。
田舎って祟りとかが本当に当たり前のように存在していますよね