独り言
投稿者:よし (1)
これは友達のお姉さんから聞いた話です。仮にこのお姉さんの名前を「あき」さんにしておきます。
あきさんは大学卒業まで、地元である地方で暮らしていたのですが、就職をするタイミングで都内へ上京してきたそうです。
都心部から電車で30分程の所で一人暮らしをしていたらしく、仕事の行き帰りは電車を使っていました。
そして、初めての一人暮らしにもようやく馴れてきたかなという時に、“それ”は起こったそうです。
その日もいつも通り仕事を終わらせ、いつも通りの時間のいつも乗る位置から電車にあきさんは乗りました。帰宅時間ということもあり、あきさんが乗る駅のホームには人がたくさん並んでいたそうですが、あきさんは先頭に並んでいたため、たまたま人と人との、間が空いていたところに座ることができたそうです。
座ってから気付いたみたいなのですが、右隣の中年くらいの男性がなにやら独り言をぶつぶつと呟いていたそうです。
最初こそは気になったものの、あきさんはイヤホンで音楽を聴いていたため、気にしないようにしたそうです。
やがて何駅か過ぎ、車内の人混みも落ち着いてきた頃。仕事の疲れでウトウトしてしまったあきさんは、音楽が終わってるのも気にせず、そのままうたた寝をしていました。
そこで再度、右隣から独り言が耳に入ってきました。
「……けん…………ちょう……に……ち」
なにやら数字と単語を言っているようで、気になったあきさんは、寝たふりをしながらその独り言に耳を傾けていたそうです。
次第になにを言ってるか理解したあきさんは、全身の鳥肌が立ち、降りるはずではない駅で急いで降りたそうです。
「その人なにを言ってたの?」
私がそう聞くと、あきさんは顔を強張らせながら教えてくれました。
その男性、ずーっとあきさんの一人暮らししている住所を繰り返し繰り返し呟いていたそうです。
降りた時にあきさんはその男性の顔を見ましたが、当然見覚えはなく、あきさんの顔を見て笑っていたそうです。
その後は特に何もなく、早々に引っ越しをしたそうですが、電車を乗る際は毎回時間をずらしたり、車両を変えたりしているそうです。
ヒェ
いっちょめいっちょめ…ワァオ…いっちょめ…