薄ら笑いしているのは何?
投稿者:ツチノコ (3)
久々に田舎の道を一人で散歩していた時のことです。新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込み大きく伸びをした私は、眼前に見慣れない神社を見つけました。
「あれ、こんな所に古びた神社があったっけ?。」
と、つぶやきました。
何故か不思議な惹きつけるようなパワーを感じました。
吸い込まれるように、私は杉に囲まれた古ぼけた神社の構内に入ってしまいました。
神社の前に立つと、周囲の杉がざわざわと風に吹かれて、まるで大勢の人がざわざわと話をしているように聞こえました。
言葉のように聞こえるのですが、意味の分からない不気味な声というか、音というか。
今でもその声のような音が耳元で聞こえるような気がします。
神社の正面に立つと、中央に鈴のついた縄が下がっていましたが、他の神社の縄より随分長いものでした。
縄に触れると手に生温かいものを感じ、手のひらを見ると血のようなものがべったりとつきました。
その時、長い縄が手に絡みついてきました。
「ぎゃあ~。」
と、叫ぶと私は、境内を走り抜けました。
後ろの方でざわざわと木々がざわめいた声のような音が聞こえました。
道路まで出た私は、息せき切って橋の上まで辿り着き、ほっと一息つきました。
「もう、ここまで来れば大丈夫だ。」
と、ほっと胸を撫で下ろしました。
ふと、後ろを振り返ると、後ろには見渡す限り田畑が広がっているばかりで、神社を囲んでいたたくさんの杉が全く掻き消すように消えていました。
無論神社らしきものもありません。
あっけにとられた私は、怖くなって思わず水面に目を移しました。
そして、橋の上から水面に写った自分の顔に驚きました。
口元が上に上がり、まるで薄ら笑いを浮かべているではありませんか。
無論、その時は怖さで顔は引きつっていますから、口元はわなわな震え、とても薄ら笑いなど浮かべている余裕などあるはずがありません。
では、川に映っていた私はいったい・・・・。
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