戻ってくる不気味なスカーフ
投稿者:JM (5)
これは、友人Yの中学通っていた制服の話です。
Yは私の住む町では数少ないセーラー服が制服の学校でした。
セーラームーン世代の私たちにとって、セーラー服は憧れの存在で、友人Yは卒業して社会人になってもその制服を取っておいていました。
25歳の時にYの家でお泊り会をした時に、セーラー服を見せてもらいました。
「いいなぁ、セーラー服。私の中学もセーラー服だったらよかったのになぁ」
「セーラー服は私も気に入ってたよ。でもそれ以外は嫌だったなぁ、中学校」
「えー?なんで?」
「結構厳しかったんだよ、うちの学校。靴の色は白って決まっていたし、髪を束ねるゴムも黒紺茶って決まってたし」
「それはうちの中学もそうだったよ」
「持ち物全部に名前書かなくちゃいけなかったよ?」
「(笑)それは、小学校みたいだね」
「でしょう?運動靴にも制服にも名前書いてさぁ」
「そりゃあ大変だ」
「制服なんか、バッチ型の名札つけているのに、さらに名前書くとかおかしいでしょ」
Yはそう言いながらセーラー服の内側を見せてくれました。
そこには布の名札が縫い付けられており、そこに『△田Y子』と、Yの名前が書いてありました。
「名札付けてるのに、ここに名前書くんだ。すごいね」
「そう、面倒くさい学校でしょう」
「こりゃあ確かに面倒くさい」
Yの言葉に同意して、ふと気が付いたのです。
セーラー服のスカーフにも名前が書かれていることに。
スカーフにはYの名前とは違う名前が書かれていました。
「あれ?このスカーフは誰かと交換したの?」
私の言葉にYは苦笑いを浮かべました。
「あぁ、それね。知らない人の名前なの」
「え?知らない人なの?」
「そう、知らない人」
私達は学生のころ、仲良しの同級生や恋人とネクタイやリボンを交換することが流行っていました。
てっきりYのスカーフもそうなのかと思って聞いたのですが、思わぬ言葉に私は驚きました。
「それねぇ、なんか勝手に来ちゃうんだよね、そのスカーフ」
誰なのか突き止めたいですね