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不思議体験

アズールさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

額縁の中の恵比寿様
長編 2021/12/16 12:25 3,524view

そして今でもそうなのですが怖いと何故か暑くなってしまうんですよね。
怖いから布団の中に身を隠したいのに暑くて汗が止まらず布団から出たくなってしまうんです。
その時も暑くて「もう無理!!」と布団から顔を出しました。

寝室には窓があり、その窓の方に面してベッドが配置されていたため右側に窓があったのですが、窓の上には少しスペースがあるんです。
スペースは30cmくらいあって、そして天井に繋がるような感じになっています。
そのスペースには何も普段は飾ってありません。
ただの壁になっています。

先程も言ったように豆電球など何も付けず普段真っ暗にして眠っているのではっきりと何かが見えることはないと思うのですが、その時布団から顔を出すと扇形のような掛け軸?何かの縁?のようなものが飾ってありました。

それは窓と天井の隙間ピッタリくらいの高さで、横幅は窓の半分くらいだったので40cmくらいだったでしょうか。
何か字が書いてあったと思うのですが、本来であれば字が書いてあると認識できるはずはないのです。暗いですから。

しかしその時の私は何故か額縁の中にある絵のようなものだと認識していました。
そしてその額縁か何かの真ん中は見たことのある人の顔が二つありました。
字はその顔を避けて両端にごちゃごちゃと書いてあると認識していたと思います。

その顔を見て私は「あ、恵比寿様だ」と思いました。
子どもの時の私が恵比寿様という概念を分かっているわけはないと思うのですが、その時の私はその顔が人間のものではなく恵比寿様だと分かりました。
今思えば家の神棚の下に、恵比寿様がモチーフであると思われる飾り物が置いてあったので知っていたのでしょうか。
その飾り物が恵比寿様、という名前だったかその時分かっていたのかは思い出せません。

その恵比寿様二人はやはり一般的に想像されるものと同じように、帽子をかぶっていました。
色なんて認識できるとは思えないのですが私は赤と青をイメージしていたと思います。
恵比寿様は二人とも喋るわけでもなくただただ笑顔で、イメージ通りに笑っているのを想像していただけたらいいと思います。

私は怖いというのもありましたが驚きでいっぱいでした。
「ここに額縁なんてあったっけ?」「こんな飾り元々あったっけ?」と何故かいきなり現れたというよりは、元々あったけど私は認識していなかった物として考えていました。
でもやはり怖い、もしかしたら夢ではないかと布団の中に一旦潜り目をぱちぱちしてから再度顔を出してみました。
やはり先程と変わらず笑顔の恵比寿様がいました。
何回かその作業を繰り返してもやっぱりいる。
しかしあのコンコンという音は消えていました。

気付いたら朝になり両親はおらず、私は辺りを見渡します。
もちろん額縁のようなものがあった場所も確認、そこはいつも通りの壁で何もありませんでした。
何かを外したような形跡もありません。

不思議に思い部屋を出て母のもとへ行き確認をしましたが、母に聞いてもあそこには元々何もないと言われました。

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