おばあちゃん、もういいよ
投稿者:ぺんぺん (8)
小学生の時祖母が亡くなりました。離れて暮らしていましたが、会うと私のことを可愛がってくれる大変優しい人でした。
不思議なことが起こり始めたのは、祖母のお葬式が終わって数カ月経った頃からです。
私は忘れ物が多い子供で、いつも教師に注意されていました。ある日、学校に持っていくコンパスを忘れてしまいました。算数の時間に必ず使うのに…。怒られるだろうなと覚悟していたのですが、ラッキーなことにその日はコンパスを使用せず授業は終わりました。
また別の日、家庭科で使う裁ちばさみをうっかり忘れてしまいました。ところがその日も裁ちばさみを使わず終了。こんなこともあるんだなぁ、と気にも留めていなかったのですが、同様のことがその後何度も続き、私はちょっと奇妙な感覚になりました。
母にこれまで起こった不思議な体験を話すと「あぁ、それはきっとおばあちゃんだね。あなたのことを守るためにそうしてくれてるのよ」と母は言いました。そういうものなのか、私は母の言葉に安堵しました。
そしてある日、私はまた裁ちばさみを忘れました。今回ばかりはおばあちゃんの力も及ばない、そう思いました。前回の授業の続きですから裁ちばさみを使うことは絶対だったのです。ところが、チャイムが鳴って教室に入って来たのは、授業を受け持つ教師ではありませんでした。「〇〇先生は、ご家族に不幸があって来られません。今日の授業は自習にします」。
私はとてもドキドキしていました。背筋がゾクリとしたのを覚えています。その日の夜、私は布団にもぐりながら両手を合わせました。「おばあちゃん、ありがとう。でももういいよ」と唱えながら。
それ以来、不思議なことは起こらなくなりました。
怖かったです。これは一生微かな罪悪感が付き纏いそうですね。