イマジナリーフレンドは一つ目小僧
投稿者:旭が丘 (1)
私が幼稚園児だった時の話。お母さんっ子で甘えん坊の泣き虫だった当時。
その時に住んでいた貸家はリビングから寝室まで一本の廊下で繋がっているものの、7mほど離れていたと思う。
幼児だった私は、寝室に行って電気が消されると二つ年上の兄が一緒に寝ていたが母親がいないことに寂しさを感じていたような記憶がある。
いつからだったかははっきり覚えていないが、夜にパッと目を覚まし両親がまだ寝室に来ていないことに気づくとリビングから見て寝室よりも奥の廊下からスーッと宙を浮かびながら、一つ目小僧のようなものが私のところにやってきた。
なぜかは分からないが、その一つ目小僧を見て恐怖感は全く感じなくて優しい雰囲気だけを感じた。
そして私はいつからか、夜になると現れる一つ目小僧に話をするようになっていた。
幼稚園で喧嘩したことや親に怒られた話、嫌いだった弁当のトマトを頑張って食べた話などをすると、いつも笑顔で話しを聞いてくれていた。
話に対して何かを答えてくれていたかどうかは覚えていない。
トイレは寝室から見るとリビングよりも奥にあった。
一人でトイレに行くのが怖いと、また奥の廊下から現れて「一緒に行こう」と優しくついてきてくれた。
私は少しずつ夜の寝室に寂しさを感じることが無くなり、むしろ友達に会える楽しさを感じていた。
しかし、ある時から一つ目小僧は今までのように一人で来ることもあったが、同じ姿の3人が肩を組んだような姿で現れることも出てきた。
一人で現れる時は今までのように優しかった。
しかし、3人で現れる時は急に顔を真っ赤にして怒り出すようなこともあった。
今、思い返すと、私が幼稚園の年長の時で小学校に上がるタイミングで引っ越しをする話を聞いてからだった。
今日は一人で来るかなぁと心のどこかで思いながら布団に入るものの、だんだんと3人で出てくることが多くなってきて最後の記憶では3人で出てくることしかなくなっていたように思う。
以前はトイレにもついてきてくれていたが、3人の一つ目小僧は「トイレぐらい一人で行け!!」と顔を真っ赤にして怒った。
いつからか、もう一つ目小僧に会いたくないと思うようになり、引っ越し前か引っ越しをした後かは定かではないがいつしか一つ目小僧は現れなくなっていた。
大人になってイマジナリーフレンドという言葉を知って、もしかするとあの時の”友達”は私の寂しさを埋めるために現れてくれて、別れることが寂しくないように怖い姿に変化していってくれたのかなと想像しています。
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