亡くなったのに笑顔の心優しい女性
投稿者:茸筍 (1)
私は小さい頃から霊感があり、家族や友達などには見えない人や動物がみえていました。
小さい頃は霊感なんて知らず、「あそこに可愛いわんちゃんいる!」と、皆には見えないものを可愛がったり、話しかけたりしていたので、「不思議ちゃん」と言われていました。
小学生の高学年になってからようやく自分はみんなには見えないものが見えてるんだということに気がつき、みんなを怖がらせないよう話さないようにしていました。
今回投稿させて頂くのは、中学3年生のときにみた女性のお話です。
私は中3の夏、高校受験に備えて夜遅くまで塾に通っていたので、毎日帰りが22時をすぎてしまっていました。
ある日の塾帰り、横断歩道で40代くらいの女性を見かけました。私はすぐにこの世にいないはずの方だな…と気が付き、見ないようにしていました。
しかし、車通りが多く横断歩道をなかなか渡れず、ついにはその女性に話しかけられてしまいました。
「もしかして私のこと見えてるかな?」と、笑顔で話しかけてきました。
私が驚いたのは、こんな自然な笑顔で優しい声で話しかけてくる霊がいるのか!ということでした。
今まで出会ってきた霊たちは恨みや悲しみを抱えた人達ばかりだったので…。私は無視するのもなぁ…と思い、「みえてます」と答えました。
その女性は笑顔を絶やさず「そっかぁ、びっくりしないんだね。答えてくれてありがとう。」と言いました。
私はなんて穏やかな人だろうと心が温かくなり、もう少し話したいと思い、「ずっとここにいらっしゃるんですか?誰かに何か伝えたいことがあったりするんですか?」と聞きました。
すると、「そう、なぜかここから離れられないのよね。私って亡くなってるわよね?」と聞かれたので、正直に「はい」と答えました。
この女性は自分が亡くなった時のことをあまり覚えていないのだなと思いました。
その日はそこまでの会話でお別れを言い、帰宅しました。
次の日、また横断歩道であの女性を見かけました。しかし、女性は昨日の穏やかな笑顔を無くし、うつむいていました。
私はその様子がどうしても気になり、声をかけました。
女性は顔を上げると、泣き腫らした顔をして「わかったの。私ね…」と言いかけ、また泣き始めてしまいました。
私は横断歩道の近くのベンチに座り、隣に座るように促しました。女性は落ち着きを取り戻して、ゆっくり話し始めました。
「私ね事故にあってたみたい。事故にあってずっと意識がなくて目を覚まさずに死んだらしいの。単独事故だったらしいんだけれどね。でもね…違うの」
私は何故か分からないのですが、その話の続きを聞いてはいけないような気がして、咄嗟に立ち上がりました。
しかし、女性はまた昨日の笑顔で「大丈夫、大丈夫だから聞いて。私は恨まない。ただ、ただ聞いてほしいだけ。」と言ってきました。私はベンチに座り直し、「すみません、ちゃんと聞きます。」と答えました。
女性は「ありがとう」と微笑んで、また話を続けました。
「私ね単独事故じゃない。ずっと横断歩道にいたら、ある若い中学生くらいの男の子がきて手を合わせていたの。
その子泣いて「ごめんなさい」と言っていたの。それを見て思い出した。
私、仕事帰りにこの道を車で走ってて、その男の子が横断歩道を走って渡っているのを避けて電柱にぶつかったの。
男の子凄く悔やんでたけれど、どうしてあげたらいいかな?普通に横断歩道渡っただけなのに、私が死んだせいで一生あの男の子に後悔させてしまうかもしれない。
あなたはその男の子と同じ中学生だと思うけれど、どうにかして伝えてくれない?「後悔しなくていいの!」って」と、女性はまた笑顔で言いました。
私は霊が見えていることを誰にも話したくないことや、その男の子が誰なのかわからないことなどを伝え、力になれないと言いました。
女性はまた笑顔で「そうよね。ごめんね。お話聞いてくれてありがとう!あなたにとって霊が見えることは嫌なことよね…。
今度私を見かけても顔合わせたり話しかけたりしなくて大丈夫だからね!私もどうやったらここを離れられるか考えてみないと!」と言い、もとの横断歩道の端に行きました。
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