なぜか残っていた悲しい日の記憶
投稿者:カヨ (7)
私は以前、同い年の男友達を癌で亡くしました。学生時代からの付き合いで仲良かったので、とてもショックでしばらくは泣く日が続きました。
彼が亡くなったことは、だいぶ経ってから知りました。なぜなら彼は癌のことをみんなに隠してましたし、家族葬でお葬式にも友達は誰も行ってなかったからです。
けれども彼が亡くなった日にちを聞いたとき、わたしはとても驚きました。亡くなった日の気温や風、空気を、わたしは不思議なくらい鮮明に覚えていたからです。そして食器も割れたことを思い出しました。
よほど何かしら野外でのイベントがある日でなければ、人間はそれほど過ぎた日の気温は覚えていないものです。でもわたしは、その日のことを鮮明に覚えていてとても不思議でした。
3月末のあの日、わたしは早朝から仕事で外を歩いていたのですが、肌を刺すような突風が突然舞い起こりブルッと震え、わたしは上着を厚手のものに交換しに帰ったのです。なんだか不思議な風だったこと、そしてその空気感を未だに覚えています。
そしてその夜、お気に入りの食器が突然食器棚から落ちて割れました。重ね置きしていましたが、別に地震が起きたわけでもなく突然落ちたのです。あれも不思議な出来事でした。何か不吉な予感がしたことが記憶に残っています。
その日に、友達は亡くなっていました。あれは友達が、最後にお別れに来てくれてたのかなと思ったりもします。
お気に入りの食器を割りにくる友達…