これは何十年も前にどこかで読んだか聞いた話です。
戦争中か戦後の動物園で飼育係をしていた方の体験談でした。
とにかくあの頃は物がない、食べるのに事欠いたと言われるのですが、人間が食べるのも不自由な時代の動物園はどうだったでしょう。
動物園で飼育されていたライオンや虎などの猛獣は、餌がないためか逃げ出したら危険だとみなされたかで、殺されたと言われています。
そんな時代、ある動物園には子供のチンパンジーがいたそうです。
アフリカで捕獲され、母親と引き離されて連れてこられたのですが、やっぱり栄養も足りず弱っていて病気になったようです。
しかし病気になっても薬がない、満足な手当てもしてやれないのでした。
飼育係の方もなすすべもなく、チンパンジーはもう最期を迎える状態となりました。
飼育係の方は、せめて最後は一緒にいてやろうとチンパンジーの檻の中に泊まり込んだそうです。
そしてチンパンジーの子供を見守りながら、うとうとしたらしいです。
すると、大きなチンパンジーがあらわれて、チンパンジーの子供を抱いているのが見えたそうです。
大きなチンパンジーは、飼育係の方をにらみつけてすぐにかき消えるように消えたのですが、はっとしてチンパンジーを見ると息を引き取っていたのです。
飼育係の方は、チンパンジーの神様がお迎えに来たか、またはジャングルで子供を奪われた母親が迎えに来たのだろうかと思ったそうです。
どちらにしても、動物も人間と同じように親子の愛を感じてしまう、怖いけれど忘れられないです。

























「かわいそうなぞう」(作:土家由岐雄 絵:式部本一郎 出版:金の星社)という絵本を思い出しました。戦争中に動物園の動物たちがどうなったか…という内容で、子どもの頃に読みましたが、トラウマレベルで悲しい内容でした。当時は保育園や幼稚園、児童館などに必ず置いてある本の類だったと思いますが…現在はどうかなあ。久しぶりにこの本のことを思い出しました。この話(体験)も後世に残したい話ですね。