谷川岳で実際に体験した怖い話

自分が「谷川岳」で登山している時に出会った怖い不思議な体験です。谷川岳には毎年登山しています。

ある年、自分が谷川岳を登っていると目の前に1人の登山客が登っていました。その登山客とは麓から一緒だったわけではなく、自分が登り始めて5合目を登ったあたりで見かけるようになりました。

曲がり角からチラチラ見える程度で、男の人なのか女の人なのかもわからない距離感でした。いつもなら先に登山客がいても自分のペースを守り気にしないのですが、なぜかその登山客には惹きつけられるものがあり、頑張ってその人に追いつこうと登るスピードを少し上げました。

しかし、なかなか距離が詰まりません。個人的には結構辛いスピードで登っていたため、これでは登りきれないと思い、落ち着きを取り戻すため1度スピード落としました。

自分のペースで歩き出してからしばらくすると、また自分の前に先程登山していた登山客の背中が見えてきました。自分のペースに合わすかのようにスピードを落としていました。

「なんだろう」と思い、先程よりも自分のペースを守りながら少しだけスピードを上げました。しかし、また追いつくことができませんでした。

そこで前から下山客が降りてきました。登山客同士ならすれ違う時に挨拶をするのが当たり前なのですが、前にいる登山客とすれ違っても下山客は挨拶しませんでした。

「マナーのなっていない登山客だな」と思っていたら、自分にはきちんと「こんにちわ」と挨拶してきました。自分は「あれ？」と思い、下山客に「前の人には挨拶しませんでしたよね？」と聞きました。

すると、下山客は「えっ？」と下山してきた方を向きました。前には、確かにずっと自分の前を歩いていた登山客が歩いていました。しかし、「誰もいませんけど」と下山客は言いました。

自分は驚き、「いや、あそこにいますけど」と指を指して言うと、その登山客がスーッと消えていきました。あまりの不思議な体験に言葉も出ずにあ然としてしまいました。

ボーっとしている自分に下山客は、首を傾げながら「では、また」と言って下山していきました。自分はしばらくの間登山する先を見ていましたが、その登山客が現れることはありませんでした。

今まで何十回と登山していますがこんな怖い体験はその1度きりでした。いったい自分の前にいた登山客はなんだったんだろうかと今でも疑問に思います。