増上寺からの脱走騒動
投稿者:梨 (7)
かなり昔のことなのですが、高校生の時に学校の行事の一環で港区の増上寺に泊まりがけの修行体験をしました。
朝早くから他の大人の修行僧に混ざって、廊下の雑巾掛けや精進料理にお経と本当に女子高生がやることか?と思いながらもなんとか修行をこなし一日目の夜になりました。
友達もみんな、修行僧じゃない!と興奮してなかなか眠りにつけず、とうとうこのまま脱走しよう!という話になりました。
今思えば高校生だからこそ考えられた幼稚な案です。
友達と3人で荷物を音を立てないように静かにまとめて廊下の突き当たりにあったトイレから脱走開始。
外に出るには欄干を渡らなければなりませんでした。
時刻は12時をまわっていて外はもちろん真っ暗です。
増上寺の隣には東京タワーがありましたが、照明は落とされていたのか意外と暗かったのを覚えています。
手すりを探りながら、みんなで押し合いへし合い、気がつくと私が先頭にされてしまいました。
いよいよ手すりを手探りで見つけ、きしみの音を立てないようにそろそろと渡り始めました。
すると、途中まで来たところで足に違和感があり、「ギャ!」っと声を出してしまいました。
すると友達が、見つかるとまずいと思ったのか「私が先頭に行く」と言ってくれたのです。
ホッとしてまた歩みを進めました。
すると、また脚に違和感がありました。
恐る恐る下を見ると、欄干の下から伸びた何者かの手が私達全員の足を掴んでいるのです。
一斉に「ギャーっ!と」大声を出して部屋に猛ダッシュしました。気がついたら足を掴んでいた手は消えていました。
この脱走騒動はもちろんバレて、次の日は普通の修行に加えお説教が待っていました。
これが本当の説法です。
脱走班は心から謝り、仏様にも謝りました。
あの時足を掴んで来た手は一体誰の手だったのでしょうか。
もしかしたら脱走しようとした私達に仏様が罰を与えたのかもしれません。
「修行僧じゃない!と興奮して」って、
ハゲに浴場したのかと思った。