「あの山に、入ってはいけないよ」「あそこは危ないから」
周りの大人はみんなそう言った。
子どもの間でも有名な話で、「入っちゃいけない山」は皆の共通認識だった。
その内話に尾ひれがついて、幽霊が出るとか祟りとか好き放題言われ始めて。
とうに幽霊の噂の根づいた小5の夏休み。ガキ大将のカンタが、肝試ししようって言い出した。
「夜に集合な、あの山まで行ってみようぜ」って。
僕は止めた。そしたらビビってんのか?って挑発されて、つい乗ってしまった。
当日の夜。僕は震える足を隠すように、懐中電灯を強く握りしめて集合場所にやって来た。
山の麓は背の高い草が生い茂って、ほんとに何か出そうだった。
カンタと友達数人は既に集まってて、僕が最後。
錆びた杭とトラロープの境界線を、僕たちはついに超えてしまった。
山道はかなり足場が悪かった。友達は何回か転んだし、僕も躓いた。
僕の場合は怖すぎて足が震えたのが原因だけど。
カンタは怖いもの知らずで、冒険するみたいにズカズカ進んだ。
そして、僕たちがしばらく歩いていると、苔と雑草に覆われた神社を見つけた。
茂みの奥側、隠れて見えづらい所。
神社といってもほんの小さな物で、そこにあるのは祠と台座と石畳程度。お手入れもあまりされていない。
カンタと数人はそこに興味を示し、ずんずんと近づいた。
小石を蹴飛ばし、落ち葉を踏み、祠の裏手へと。
すると、祠の逆方向から声が聞こえる。
「おいで、おいで、こっちにおいで」
友達が一斉に固まった。
「お、おい……これ、マジの幽霊じゃん……!」
「ねぇもう帰ろうよ、こわいよ!」























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