最近はAIに小説を書かせるのが流行っているじゃないですか。すでに一部のAIでは十分筋の通った物語を書き出すことができているようです。だが果たしてAIは人間の恐怖心を因数分解して恐ろしい物語を書き上げることができるのだろうかとふと気になりました。
そういうわけでオカルトやホラーに特化した文章作成AIはないかネットサーフィンすること約2時間、とうとう「恐怖創作AI」なるサービスを見つけました。
このサイトはどうやらいくつかのキーワードを入れることで怪談を自動生成してくれるものらしくまさに僕が探していたものでした。
早速【高校生 帰り道 足音】と適当に入力。
すると高校生の主人公が塾の帰り道に本人不在の足音に追いかけ回されるというストーリーの話が生成されました。
ありがちな内容だと思いきや足音がただ後ろからついてくるだけのベタなものではなく横の壁、あるいは頭上からもコツコツと足音が聞こえてくるという荒唐無稽さがなんだかいかにもAIっぽい。
さらにオチはやっと家に着いて安心しているとスマホに親からの着信、すぐに出ると耳元に大音量で「コツコツコツコツコツコツコツコツコツ」というひねりも入れられていた。
AIもなかなか面白いものを作るなぁと感心しながら画面をスクロールすると作成された話の真下に
「この物語でよろしいでしょうか?」
・確定
・やり直す
のボタンが表示されていた。
そこそこの出来に満足したので迷わず確定を押す。
「この物語で確定いたします。ご利用誠にありがとうございました。」とメッセージが丁寧に画面に映し出された。
このサイトをブックマークしその日は就寝した。
翌日学校に行くとクラス内が妙に盛り上がっている。どうやらクラスの女子が昨日怖い目に遭ったらしい。
耳を傾けてみると驚いたことに昨日僕がAIで生成した話そのままの体験をしたようだった。
まさかと思いつつも検証せずにはいられない。
家に帰りすぐに例のサイトを訪れる。
【母親 台所 腕】と入力。物語はすぐに生成されたが・・・これではダメだ。万が一本当に起こったら母親が大怪我してしまう内容だ。
すぐにやり直しを選択し、その後も怖さと安全性のバランスが取れる話になるまで何度も繰り返し、やっと母親が冷蔵庫を開けると中に1本の緑の腕がゴソゴソ動いてキュウリを掴んでそのまま消えてしまうという比較的害のない物語が生成された。なぜ冷蔵庫に河童が?と不条理に思ったがそこはやはりAIらしい。
確定ボタンを押すとまた昨日と同じように「この物語で確定いたします。ご利用誠にありがとうございました。」のメッセージ。
ドキドキして待っていると階下から母の叫び声が上がった。
すぐに階段を駆け下り台所に行くと母が冷蔵庫の前でヘナヘナと腰が抜けたようになっている。
何があったかを聞くと案の定「緑の腕が・・・中、冷蔵庫の中に・・・」と言うので開けてみるがそれらしきものは何もなかった。
母には見間違いだろうと落ち着かせたが、逆に僕は内心とんでもなく興奮していた。
間違いない。これは生成した話が現実化するAIなんだ。
僕はそれからこのAIに夢中になった。
初めは些細な悪戯心で友人にちょっとした恐怖体験をプレゼントしたり、校内に七十七不思議を流行らせようと学校ホラーを大量に生産したりしていたが、次第に僕に酷い嫌がらせをするクラスの不良を恐怖のドン底に突き落とすなどこのAIをもっと自分のために使えないか模索するようになっていった。
いろいろ試していたある日ふと名案を思いついた。
これさえあれば片思いしている結衣ちゃんと親密に、いや物語次第では付き合える可能性だってあるんじゃないか?
即座にAIにさまざまなキーワードを入れてAIを走らせる。
【〇〇(自分の名前) 結衣 放課後 二人】
























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