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ヒトコワ

ドライアイスさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

褪せない赤い薔薇
短編 2026/02/14 11:21 49view

彼女は私の妻でした。
よく働き、よく笑い、よく眠り、たまに意見がぶつかることもあったけれど、私はこの妻を自慢に思っていました。彼女は赤い薔薇が好きで、部屋にはいつも、彼女が選んだ鮮やかな一輪が飾られていました。

この妻とは社会人になってから出会い、社内恋愛の末に結婚しました。初めは何とも思っていませんでしたが、次第に互いに惹かれ合っていきました。

もともと独占欲が強かった私は、妻が会社の飲み会や同窓会に行くことを極度に嫌がりました。初めのうちは彼女も「付き合いは大事だから」と言って参加していましたが、コロナ禍でそうした機会が減り、それでも、彼女の好きな薔薇だけは毎日丁寧に生けていました。

ただ、最近になって、私の独占欲がついに限界を超えたあの日から、彼女はどこへも行かなくなりました。あの大好きな薔薇すらも、放置されて、もはや黒ずんでいました。

今の彼女は、完全に変わりました。あんなに好きだったお喋りもしなくなり、私が何を言っても反論ひとつしません。独占欲の強い私にとって、彼女がどこへも行かず、誰とも会わず、ただ私のそばにいてくれる今の状況は、ある種の手に入れたかった理想の形でもあります。
今の彼女は、驚くほど静かです。
なにか語りかけても、彼女は優しく横たわったまま、ただ眠り続けています。

私は彼女の冷たくなった頬を撫で、満足感とともに微笑みました。もう彼女を誰かに取られる心配も、彼女が嘘をつく心配もありません。
私は、黒く朽ちていたあの薔薇が鮮やかな赤い返り血で染まった様子を眺めながら、ようやく手に入れた永遠の安らぎに浸っています。

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関連タグ: #同窓会#結婚
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