カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ

俺が高校生の頃に体験した話です。

夜に音楽を聴きながら散歩をするのが趣味でした。
その日もイヤホンを付けて、お気に入りのボカロや洋楽を聴きながら近所をブラブラと散歩していました。

ふと気がついたのですが、イヤホンから

“…カタ…カタカタ…”

と異音が聞こえていました。
(買ったばかりなのにもう故障かよ…)と少しイラつきながらイヤホンを取ると

“カタカタ…カタカタカタ”

音がより鮮明に聞こえて来ました。
どうやら近所のどこかから聞こえてくるようで(壊れかけの換気扇の音かな…？)と少し気になったので音の発生源に向かって歩きました。どんどん音は大きくなっていきました。

そこには少し古びた一軒家がありました。
室内の明かりはついてるので人はいるようです。
玄関のドアレバーが

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ

と激しく上下に動き続けていました。壊れるんじゃないかと思うくらいに。

俺は状況が理解出来ず硬直し、その場で10秒ぐらいカタカタと動くドアノブを見ていました。
一向に止まる気配のないそれが少しづつ恐ろしくなり、早歩きでその場から離れました。

“カタカタカタカタカタ…カタカタカタ……カタカタ…”

と離れるほど音が小さくなっていく一方で、全く音が止む気配はありませんでした。
(俺が異音に気が付く前からずっとあの状態だったのか？)
(一体いつからアレをやってるんだ？)
(なんの目的であんな意味不明なことを？)
思うことは色々ありましたが家に着き、その出来事を親に話して「へ〜。変だね。」とうっすい反応をされました。