私が小学生の頃家族で母方の実家に帰った時の話、普段高速道路を使う所を何でか一般道を使って帰った時の話
結構な田舎なもので山の中のくねる道を延々走っていました、いつしか日は暮れ真っ暗闇に、
街灯も信号も無い山道は車の前後の灯りしか見えず、ヘッドライトに照らされたガードレール以外は木も草も闇以外の何物でもありませんでした、
そんな暗闇をひた走る車中、後部座席の私は奇妙な音を聞きました、タタタタタ・・・軽い足音のような音です、雨音か、木の葉が窓ガラスに当たりでもしたのかと耳を澄ませましたがもう何も聞こえません
気のせいかとまた暗闇に目をやります、車のエンジン音と振動が目的地に向かっている事を教えてくれていますがそれ以外は進んでいるのか止まっているのか解らないような暗闇の中、またタタタ・・・と音が聞こえました、
今度はさっきの反対側、後部座席左側、私の位置からは何も見えません、にわかに怖くなり助手席の母に変な音が聞こえる、足音みたいな音が聞こえる、と伝えました、母は怯える私を不思議な顔で見つめ返し、
何も聞いていないと言いました、確かに聞こえた、と返そうとしたときにまたバタタタタタッっと今度はさっきより強い音が響いてきました、助手席横、母の隣、山側、暗闇とわずかに反射する草木以外何も見えないそこから確かに音がしました、
お母さん!お母さん!と、腕を引く私に困惑するように母は言いました、何も聞こえないわよ?と・・・
バタバタと子供の蹴立てるような足音はそのまま車の下、母の下、運転席の父の下を通り抜け、車の右側下り斜面にバタバタ、タタタ、と足音を響かせて消えていきました、
震える私、わけがわからず困惑する母、静かになった車内に父の大きなため息が聞こえました、そして一言「子供がいた、幼稚園児位の、ガードレールの向こうに走っていった」と、
車は減速するでも加速するでもなく山を走り、通り抜け、母方の実家に着きました、あれ以降下の道を通って里帰りはしていません。

























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