戦火
投稿者:琥珀 (5)
私は沖縄で仕事をしていました。
勤務地は宜野湾(ぎのわん)という場所です。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
宜野湾は戦時中、米軍の「鉄の暴風」と呼ばれる猛烈な空爆や艦砲射撃で地形が変わったとまで言われています。
その場所の海沿いのビルの中で働いていたのですが、場所が場所だけに心霊現象には事欠きませんでした。
系列会社のコールセンター部もビル内にあったのですが、夜勤の時には翌朝必ず誰か辞めるとまで言われていました。
夜中に電話が鳴り、受話器を取るとこの世の物とは思えない叫び声が聞こえるというのが原因でした。
今からする話は、私の同僚の妻が体験した話です。
私と同僚は本社から管理職として沖縄の関連会社に出向を命じられました。
私は独身だったのですが、同僚は妻と2歳の息子を連れて沖縄に来ました。
新事業の立ち上げの管理だったので、朝から夜中まで週休1日の激務でした。
朝方まで仕事をして、自宅でシャワーを浴びてすぐに出勤なんて日もザラでした。
約半年間、そんな生活が続いていたのですが、
同僚の顔色が日々悪くなっていくのがわかりました。
原因を聞いてみると、
「夜中、仕事から帰ると嫁が待ち構えていて、毎晩夫婦喧嘩になる」喧嘩の理由は、
「早く帰宅出来る様に会社に交渉をしたかどうか?」が原因だと。
確かに育児が1番大変な時期に旦那の帰宅は午前2時過ぎ、頼れる親戚もいないとなれば妻のストレスは限界だろうなぁと同情していたのですが、
沖縄に来た直後に同僚の嫁とは沖縄の社員がひらいてくれた歓迎会で会って話をした事があります。
その時は「私も退職する前は仕事人間だったので理解はあります。旦那さんには思いっきり頑張って欲しいです」と言っていました。
「えらい変わり様だなぁ、育児ってやっぱり大変なんだろう、あー独身で良かった」と思いつつこの話は終わりました。
暫くして、更に顔色が悪くなった同僚に話しかけられました。日中はお互い別の場所で仕事をしていたので、顔を合わせるのは久しぶりです。
確か、夜中の1時頃だったと思います。
一人で報告書を書いていると、同僚が私服で会社に来ました。
私「あれ?今日休みだったの?」
同僚「…。」
私「??」
同僚「あの、今から家に来てもらえませんか?」
めっちゃ早口でなんか話し方がおかしい。
相当テンパっている様子。
私「夜中だよ?家族寝てるでしょ?」
同僚「いいから、お願いします!」
余裕が無い感じでした。しかも半ギレ状態。
ちなみに同僚ですが私の方が年上です。
私は沖縄出身のものです。
宜野湾は地元ではないのですが、小さいころに祖父母から宜野湾周辺の惨状をよく聞きました。
その時に感じていた、怖い感覚というのをこの話で久々に思い出しました。
この夏は地元に帰る予定なので、その際には宜野湾にも立ち寄り、手を合わせていこうと思います。