青山霊園での恐怖体験

日本全国に数多く存在する心霊スポット。かつて私はそんな心霊スポット巡りを趣味にしていました。元々霊感もなく、友人たちと面白半分で各地の心霊スポットに足を運んでは「何も起こらないじゃん」と笑い合う日々。

そんなある夏の日の夜、いつもの仲間4人で、とある心霊スポットに行くことにしました。そこは東京都内では有数の恐怖スポット。数々の心霊体験話が寄せられる「青山霊園」です。かつでテレビ番組の撮影中に怪奇現象が起こったこともある、かなり有名な場所。

青山霊園には道路が通っているのですが、そこを通る数々のタクシーも不思議な体験をしています。道路の途中には「何が起こるか分からない」を意味する標識までが立っているのだから、実際に何かが起こる可能性が高い場所。恐怖を感じ、その道を通らなくなった運転手も多いとか。

そんな恐怖スポットに、真夜中に4人で車を乗り入れた私たち。車を止め、エンジンを切って車の外に出ました。その時、夏の夜にもかかわらず、なぜか冷んやりとした感覚に包まれたのを今でもよく覚えています。

それまで、様々な心霊スポットに行き、何事もなかったことから、今回も何もないだろうとタカを括っていました。ですが私たちは、初めて体験する異様な雰囲気に沈黙せざるを得ませんでした。それでも「ここまで来たんだから、深夜の霊園を探索しなきゃ帰れないでしょ」と、1人が言い出しました。その言葉もあり、気を取り直してお墓が立ち並ぶ霊園の中に入っていったのです。

懐中電灯を点けながら数分ほど歩くと、仲間の1人が急に「おいっ！」と声を上げました。声がした方に目をやると、彼は右側に並ぶ墓石を指差して信じられないことを口にしました。

「お墓の後ろに人が立ってる・・・」と。その言葉に全員が戦慄したのは言うまでもありません。そして、1人が指差された墓石に懐中電灯を向けた時、私たちは本物の恐怖を目にし、即座に車へ向かって走り出したのです。
私たちが車まで走って逃げた理由。それは墓石の後ろに、白い服を着た顔のない無数の人が立っていたから・・・車に逃げ帰ってからすぐにエンジンをかけ、青山霊園を後にしました。

あれから5年。私たち4人は今でも顔を合わせますが、誰1人としてこの話に触れることはありません。