夜中のインターホン

聞いてほしい。
実家住まいなんだが、夜中にインターホンが鳴るんだ。
最初に鳴ったのは深夜1時過ぎだったかな。
家族みんな寝静まってたんだけど、俺は大学生だったから徹夜でネトゲしてて、スカイプで友達と通話しながら起きてたんだ。

当時流行ってたＭＭＯで「そっちに敵わいた！」「俺に任せろ！」「助けてくれ！」ってわいわいやってたんだけど、不意に『ピンポーン』て旧式のインターホンの音が鳴るわけよ。

ヘッドフォンつけてスカイプしてたし、ゲームの音ではっきり聞こえなかったんだけど、急に友達が『今、チャイム鳴らなかった？』なんて言うから「は？」って返した。
まあ、俺も少しだけインターホンが鳴ったのは聞こえてた。
でもゲーム内の音だと思ったんだ。

「え、俺の方？ゲームじゃねえの？」
『ゲームか？』

それで友達と不思議に思って喋ってると、一階で音がした。

たぶん、親がトイレにでも起きたのだと思って、俺は一旦離席。
俺の部屋は二階で、両親は一階の寝室で寝てるんだけど、さっきの友達の発言も気になって、ついでに下に降りて確認しようと思った。

電気つけて階段から降りてる途中に親父と鉢合わせ。

「「おっ、ビックリした」」

俺と親父の反応がシンクロするが、親父はトイレではなくて玄関に向かったので、なんで玄関に？と思いながら親父に話しかけた。

「あれ？トイレじゃないの？」
「ん？あー、いや、今インターホンが鳴ったんだよ」

親父はそう言いながらサンダルを履いて玄関を開けて、外を確かめる。
でも、誰も居なかったようで、すぐに玄関を閉めてから「故障か？」と眉を顰めた。
そんな親父の様子を見て、俺は友達の言う通り、あの音はゲームじゃなくて俺ん家から鳴ったのだと納得する。

「あ、やっぱ鳴ったんだ」

「お前も聞こえたか？俺も最初は寝ぼけてるのかと思ったんだけど」

その後、親父は頭を掻きながらトイレに行って、寝床についた。

俺も親父の後にトイレを済ませて自室に戻り、友達と通話を再開。

「おまたせ。やっぱ俺ん家のインターホンが鳴ったっぽいわ。何かインターホンの故障かもって親父が言ってた」
『はは、配線に不具合あんじゃね？修理してもらったほうがいいぞ。てか、こんな時間に鳴るとかホラーだろ』

友達の言う通り、今は深夜の1時を回っている。
インターホンを鳴らしたのが幽霊でなくとも怖い。

その翌日、親父は仕事に行く前に母ちゃんにインターホンの修理を業者に頼んでた。
母ちゃんも夜中に聞こえたらしいが、夢だと思って二度寝したって言ってた。
んで、俺が大学に行った後、午後過ぎには業者が来てインターホンの修理をしてもらったんだけど、配線に問題は無かったらしい。
蟻とか虫が中で巣を作ったり、接触不良の類も無さそうだった。
業者のおじさんも「んー、特に異常は見当たらないんですがね…」と不思議そうにしてた。