T県のビジネスホテル
投稿者:ノンレム金魚 (3)
これは5年前T県にあるビジネスホテルに宿泊した時のお話です。
T県にいる友人夫婦に会うため良さげなビジネスホテルを事前に予約しました。
新幹線と特急列車を乗り継いで5時間の移動でT県に着いたときはくたくたでした。
フロントで手続きをし鍵を受け取りエレベーターで部屋に向かうと、部屋の前になにかが居ました。
黒くて天井まである高さのぷるぷるとしたものでした。
幽霊の類は何度も見たことがありましたが、全く違います。お化けと言った方が正しいかもしれません。
こちらをじっと見てくるのが分かりました。
怖いけど、こちらが気付いたことを察したら付いてくる⋯。
そんな気がして意識をそちらに持っていかないように、
部屋へ入室しました。
部屋の中には特に異変はありません。
夜は友人と食事にいく約束をしていたので、とりあえずシャワーを浴びて支度し、出かけようと扉をあけたらそれはまだ居ました。
見ぬふりをし、ホテルを後にしました。
その夜は久々に会った友人と話が盛り上がり、お酒も進みとても楽しい時間を過ごしました。
気がつけば深夜1時過ぎ、お開きにしてタクシーにのり、ホテルに到着しました。部屋の鍵をフロントで受け取りエレベーターで部屋のある階へ、それはまだ居ました。
真っ黒くぷるぷるゆれる大きななにか。
前を横切り部屋へと入りました。何だかとても安心しました。
シャワーを浴び、ベッドで横になりながら今日1日楽しかったなぁなどと思い出して寝ようとした時、気が緩んでしまったのか、ずっと避けてきた部屋にいるそれについて考えてしまいました。
あれは一体なんだろう⋯?
その瞬間!!それがこちらに向かってくるビジョンが脳内に流れ込んできました。
この感じ、幽霊の時と同じだ。と思うまもなく金縛りにあいました。
目をあけてみるとそれが部屋の中をぐるぐる回ってます。初めて目にする異形のそれにただ怯えるしかありませんでした。
冷たい風が私の身体に当たります。窓も閉めてますし布団を掛けて寝ているので感じることの無いはずの感覚です。
もうだめだ!怖い!!
そう思ったときそれの声がまた脳内に流れてきました。
ミエテルヨネ⋯。
確かにそう言われました。怖い怖いと思っているうちに気がついたら寝てしまったか、気絶してしまったかどちらか分かりませんが朝になりました。
身体が動くようになっていたので、脇目を振らず走ってフロントへ向かいました。
部屋を変えてください!!と懇願する私にフロントの方も驚いたようで事情を聞かれました。
簡潔に昨晩の出来事を話すとスムーズに部屋を変えてくれました。
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