友人じゃない
投稿者:ノンレム金魚 (3)
これは私が3年前S県で体験した話です。
S県には友人がたくさんいるので、年に3度程遊びに行っています。行楽の目的は飲み会。私たちは無類の酒好きなので、定期的に集まっては友人の経営してるバーで思い出話や近況を話し合う仲です。
この日も友人と飲みにいき深夜2時くらいまで飲んでました。私はみんな程飲めないのでリタイアしました。
そしてタクシーを呼んで友人宅へと1人で戻りました。
お風呂に入り、布団でゴロゴロしてるうちにお酒の力もあり眠たくなり熟睡しました。
そして朝
「ねぇ?起きて!」と友人の声がしました。
時計をみると朝9時くらいでした。
「まだ眠たい⋯。もう少し寝かせて。」と私がいうと
「わかった!」とはっきりと友人の声で返事がきました。
うっすら目をあけると友人が私の顔を見下ろすような形で立っていました。
その時ふと思い出したのです。
私たちの暗黙のルール⋯寝ている時は起こさないことです。シンプルですが深酒した次の日には大切な決まり事です。それを無視して私を起こし、私の顔をずっと覗きこんでる友人⋯であろうなにか。
私はこの時、知人から聞いた怖い話を思い出しました。
霊は身近な人に化けて現れることです。
はっと気付きました。今まで感じていた違和感の謎が一気に解決しました。
これは友人の形をしたなにかだということです。
気付いた所でどうしたものかと考えながら
睡魔に負けてしまい2度寝してしまいました。
そしてしばらくたったあと
また友人の声がします。
「私、今からでかけるんだけど一緒にいかない?」
と言われました。
時刻は12時前でした。私はまたあの違和感を感じていました。
「私はいいや、楽しんできて。」とナニカに返答すると、耳元でチッと舌打ちのような声が聞こえました。
ゾクッとして、起き上がり辺りを見まわしましたが、友人もナニカも居ませんでした。
その後友人から連絡があり、店で潰れて寝てしまったので今から帰るとのことでした。
友人が帰ってきてこの話をしようか迷いましたが、怖がりな友人なので秘密にしておくことにしました。
私があのとき感じた違和感は今考えても説明ができません。これは友人じゃないと直感で思ったからです。
そしてあのとき私が、ナニカの誘いを受け入れてたら
今頃どこに連れていかれてたのでしょうか。
考えるだけでも恐ろしいです。
友人との暗黙のルールがあって良かった。