のっぺらぼうのおじさん
投稿者:北ウイング (2)
これは私が小学校1年生の時に初めて体験した不思議な体験です。
昔の体験談は年齢を重ねていくと同時に曖昧になっていき、忘れていくもの。
しかし、この不思議な体験はあれから25年以上経った今でも鮮明に覚えているので、それだけインパクトのある体験だったんだと思います。
当時、関東圏の小学校に通っていた私はクラスの人気者で、毎朝学校に行くことが楽しみでした。
ズル休みなんかもする事なくちゃんと登下校班の集合場所に遅れず集まっていました。
しかし、唯一嫌だったのはこの登下校班での登校です。
この班の上級生がやんちゃな子が多く、あまり馴染めなかったのです。今では普通に優しいお兄さんお姉さんだったと思いますが、当時はなんとなく怖いイメージがあり憂鬱だったのを覚えています。
ある時、珍しく寝坊をしてしまい、登下校班の集合場所に行けなかった時がありました。
私はあまり好きじゃない登下校班での登校が嫌だったので一人で歩いて登校することにしました。
私の住んでいた地域の登校ルートは、国道や線路も渡る、とても交通量の多い地域でした。
低学年の子が一人で登校するにはわりと危ないルートだったのですが、1つ良かったのは地域の人たちの目が多いルートなので、なにかしらあると誰かしらが助けてくれるような場所でしたので、ある意味安心感はありました。
一人で登校ということに不安も感じずいつも通りの国道沿いを歩いていると道路の方からなにやら嫌な視線を感じました。
地域の住人や歩いている人も周りに何人かいるので、視線自体は珍しいことじゃないのですが、なんとなくダークな雰囲気を子供ながらに感じとりました。
何気なく視線を道路に向けて見ると、一人のおじさんがこちらをジッと見つめていました。
最初は気にしてなかったのですが、あまりに凝視してくるのでこちらも注意深く見ながら歩いていた時、あることに気づきました。
なんと、おじさんの顔のパーツがないのです。
目や鼻や口がなく、まるでのっぺらぼうそのものでした。服装は普通にカジュアルな格好で身体は明らかにこっちを向いていました。
それにもう一つおかしいのが、そのおじさんの立っている場所です。
この国道はかなり道幅の狭い場所で、本来立つスペースはないのにも関わらず、道のど真ん中に立っているのです。
それを見た私は怖くなって、走って一度家に引き返しました。
親に泣きながら説明しましたが全然取り合ってくれず、渋々また登校することになりました。
またあの国道に差し掛かろうとした時、たまたま遅れていた別の登下校班を見つけ一緒に登校することができました。
さっきのおじさんのいた道路を見てみると、あのおじさんはいなくなっており、嫌な視線も感じず無事学校に着くことができました。
それからは絶対に一人では登校しないと誓いました。あれからは一度もあのおじさんを見ていません。
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