宗教を妄信する人

今から数年前、付き合いで某宗教団体の集まりに顔を出した時の事。

その集まりの場では、信者が信仰体験を語る様子を撮った映像が流されていた。
だいたいは病気を信仰によって克服して～とかそういった内容の話だったが、中でも印象に残ったのが、女性信者が知人の美容師を入会に導いた話。
以下、記憶を頼りに女性信者の話をできる限り再現する。

「私は今までに誰かを入会させた事がなく、内心では焦っていました。このままではいけないと思い、必死にお題目を上げて自分を鼓舞しました。
まずは身近な人から対話をしていこうと思い、行きつけの美容室の美容師さんをお茶にお誘いする事にしました。
美容師さんを待ち合わせの駅まで迎えに行き、自宅に連れて行くとそこでは丁度父と地区部長が熱い対話をしているところでした！　私が美容師さんを連れているのを見ると、２人揃って仏法対話を開始！　もちろん私も負けじと信心の良さを語りました。
母は２階でお題目をあげ始め、その声が我が家を包み込むと、美容師さんも歓喜の涙を流してその場で入会を決意！　無事信心へと導く事ができました！・・・」

会場が拍手喝采となる中、私は見も知らぬ美容師さんに同情していた。
歓喜の涙じゃないよ、騙されたと分かって、怖くて泣いていたんだよ。
映像に出てくる人達は誰も彼も似たような喋り方に作ったような笑顔で、それがまた不気味だった。