金縛りのようなもの
投稿者:門前 (1)
まだ小学生の頃の話。
ある夜、なかなか寝付けずに布団の中で悶々としていると、いつの間にか時計は0時を回っていた。
それでも明日は学校がある、田舎だし、学区の端っこだったから結構早めに家を出ないと間に会わない。そんな焦りで悶々とした気持ちは膨らむばかりだった。
そうこうしているうちにいつの間にか眠っていたらしい俺は、妙な寝苦しさで目が覚めた。
目を覚ますと、周囲の空気がおかしい、何かが違うという感じがする。
「もしかしてこれが金縛りだろうか」
と思う、何故だか体を起き上がらせようとか、立ち上がって部屋を出ようという気が起きない。してはいけないことのように感じる。
でも、よくよく考えると俺の知っている金縛りとは違うと思った、よく知っている金縛りは体を「動かせない」というもので、俺が今おかれている現状は体を動かそうと思えば動かせるだろうと思う。いや、思うだけで動かせないのかもしれない。
試しに体を動かしてみればいいんだ。と思って、えい、と気合を入れて体を起こす。
するとやっぱり体は起き上がり「何だやっぱり金縛りじゃない」と思うと同時に、暗闇の中でニタァと大きな口で笑いながら俺を見下ろす女の姿が目に飛び込んでくる。
怖くなり、急いで寝直し布団の中に潜り込み、震えているといつの間にか眠ってしまっていたようだった。
それ以来、俺は夜中に目覚めてもすぐ寝直して起き上がらないようにしている。
地味に怖い