予知ミュージシャン
投稿者:右手 (4)
短編
2022/01/29
19:00
1,046view
私が好きだったミュージシャンが亡くなった。
死亡の原因は、飛行機の墜落。
乗客全員即死状態の飛行機事故だった。
私が好きだったミュージシャンは全国的には全くの無名だった。
私の地元の駅で路上ライブを度々開催していた。
お客さんははっきり言って大盛況とは言えず、人もまばら。
通り過ぎる人が大半だった。
私も最初は、歌を歌っているな程度で通り過ぎる事が多かった。
しかしある時、ちょっと暇だったし、聴いてみようかなと思って立ち止まって聴いていたら、彼のメッセージ性はとても強く、何だか自分の心に残るものだった。
そして、曲の終わりに「いつも歌っていますよね?」と声をかけたら、「そうですね。毎日のように歌っています」と返答してきました。
「CDになっているんですか?」と聞いたら、「CDにはなっていないですけど、手作りの歌詞カードならあります」と言ってきました。
「ではそれをください」と一言伝え、歌詞カードをもらきました。
そんな経験から彼の歌を駅前でよく聴いていました。
事故があってから、彼の歌詞を改めてよく見ると、彼の歌は将来を嘆く歌詞、将来にどう立ち向かうといったものがとても多いことに気づきました。
そして歌詞の一節にはこんな文章がありました。
「避けることのできないこの状況で何ができる?ただ身を任せ、思いのままいけばいい。あとはその衝撃を受け止めるだけ」
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 7票
乗客全員脂肪つて珍しげですね。