念が宿ったお気に入りのバッグ
投稿者:東村 (2)
これは私の友人が経験した話です。
20代前半の彼女は今時の若者と言う感じで、通販で服などのファッションアイテムを購入しています。
ある日彼女は某通販サイトで、黒のショルダーバッグを買おうか迷っていました。
それは最後の1個で、デザインも好み、その上1,000円そこそこという安さです。
それでなのに彼女が躊躇していたのは、その通販サイトの安いアイテムにはすぐ壊れるなど、外れがあることを経験していたからです。
それでも1,000円くらいだしと、結局そのバッグを購入しました。
届いたバッグは幸いにも当たりで、出かける度に使う、彼女のお気に入りになりました。
しかしある日、彼女はそのバッグをなんとなく、使いたくないなと感じてしまいました。
今思い返せばですが、彼女の部屋はその時から物が散乱し始めて、片付けができなくなったようです。
とはいえ当時は通り道が辛うじてある程度でも気にならず、同居している母親が注意しても気にしなかったとのこと。
当の黒いバッグもどこに置いたか分からなくなったある日、家に母の友人がやって来ました。
その友人は家で母親と談笑していたのですが、「声が聞こえた」と言うのです。
彼女は外出しており、家には他に誰もいません。
それでも無視できないほど声が聞こえたらしく、母の友人はとある部屋の前までやって来ました。それは彼女の部屋でした。
流石に母親も自分の子の、しかも汚い部屋を見せたくなかったようですが、声の正体を知りたくて2人で部屋に入りました。
声の出所をその友人が探していくと「これから声がする」と言って、バッグを手にしていました。
その友人いわくバッグは「返して」「そのバッグ私のだから返して」と、言っていたようです。
気味が悪くなった母親と彼女は、後日神社へそのバッグを持ってお祓いに行ったのですが、その声の主はいわゆる幽霊ではないとのこと。
祈祷師いわく、そのバッグを配達した人の心の声が念となって、カバンに宿ったらしいのです。
つまりカバンを届けた配達員もそのカバンが欲しかった。でも、配達しないといけない。そんな葛藤が強い念になってしまったと、祈祷師さんは教えてくれました。
そのバッグですがお祓い後から彼女は再び気に入って、片づけた部屋の中でちゃんと置いています。
今では彼女の通勤バッグとして毎日使われている、お気に入りのバッグです。
その配達員どんだけ欲しかったんだ…