勝手に出現して消える彼の友人
投稿者:ゼロ感 (9)
私が中学生の頃の話です。
当時は掲示板サイトが流行していた時代で、恋愛や趣味などで共通の話題や悩みを持つ人との交流にハマっていました。
そこで知り合った1歳年上の男性Yさんと仲良くなり、会うようになりました。
しかし、会うようになっておかしなことが続くようになりました。
2人が会っている時に必ずYさんの友人であるKさんが現れます。
それも待ち合わせている様子もなく、自然な感じでフラッと。
疑問を感じた私がKさんのことをYさんに尋ねると「いつも勝手について来るんだ。ごめんね。」としか言いません。
私とYさんが住んでいる市から遠く離れた地に行っても必ず現れ、カラオケや漫画喫茶などの個室が多い店でも現れるKさん。
あまりにもしつこく、私はKさんがYさんの友人であること以外、一体何者なのかも聞かされていない。
苛立ちを感じ、ある日の解散後、2人の後をこっそりついて行きました。
YさんとKさんが人混みの多い道を人をかき分けるようにして歩いていました。
ほんの一瞬、スーツを着た男性が2人の背中を隠したと思った瞬間、Yさんだけになっていました。
その辺りを見ましたが、入れるような店もなく、ガラスのショーウィンドウと交差点もない車道があるだけ。
後日また解散後に後を追いかけた際も、Kさんは必ずどこかで蒸発するように姿を消す。
私は確信しました。KさんというのはYさんの友人であって、そしてこの世に存在しない人だと。
その後もYさんと遊ぶことは続きましたが、Kさんはやっぱりどこに行っても現れ、そして帰りには勝手に消える。
怖さもあり、どこに行っても現れる煩わしさもあり、Yさんとは自然と距離を置くようになって会わなくなりました。
今でも時折Kさんが消えた辺りの道を通るとこの時の記憶が蘇ります。
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