幼少期の記憶 消えた妹
投稿者:スカーレット (2)
短編
2021/10/25
21:34
2,171view
幼い頃から時々、不思議な体験をすることがあった。
祖母の家に遊びにいったとき、誰もいないはずの部屋から廊下に伸びている人影を見たり。
小学校で流行ったこっくりさんの最中、動きまわる十円玉はきっと誰かが動かしていたのだろうけれど、その十円玉の後始末で公衆電話から掛けた知らない番号から、途切れ途切れのノイズが聞こえてきたり。
あのときは、怖くて不思議なことがあると、すぐ友達に自慢げに話していたっけ。
でも、あの日起きたことは、そうやって誰かに話すことすら憚られるような、不気味な出来事だった。
学校からの帰り道、友達とバスを待っていると、反対側の歩道を同じクラスのA子が自転車で通るところだった。
『おーい』声をかけると気が付いて手を振り返してくれた。
自転車を漕ぐ彼女の後ろには、小さな女の子が乗っていた。
赤い服を着た、彼女より一回り小さな体が腰のあたりにしがみついている。
一緒にいた友達と『妹かな?二人乗りして、仲良しだねぇ』と笑って話した。
しばらくすると、10メートルほど先の信号を渡って、A子がこちらに向かってきた。
『さっきぶりだね』なんて笑う。
どうやらこれから習い事があるらしい。
他愛ない話をしながら、ふと彼女の背に目をやると、そこには誰もいない。
『あれ、妹さんは?』信号前で降ろしたのだろうか。
彼女に妹がいたなんて初耳だ。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 6票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。