濡れないおじさん
投稿者:TSY (2)
ある夏のいつもの休日。私はその日も普段と変わらず彼女とデート。
ランチを食べる予定であった。
この日は生憎の雨。
私たちは駅で合流し、目的としているお店まで歩いて向かった。
激しく降る雨に、傘をさしているにもかかわらずズボンなどは濡れていた。
店に到着し、ランチをおいしく頂いて外に出た。
さあ行こうかと傘をさそうとしたその時である。彼女がこうつぶやいた。
「あの人、濡れてないよね。。」
私たちの目の前をTシャツ、短パン姿の50代後半ぐらいのおじさんが傘をささずに自転車で通り過ぎた。
私と彼女はそのおじさんが雨を平気そうに自転車に乗っていた姿に違和感を覚えた。
その後に気が付いたのは、服が濡れていない。
Tシャツやパンツの色が変わっていない。
私たちは来る最中、雨に濡れ、一部濡れた箇所が浸透により色が変わっていた。
服は濡れれば肌にひっつくはずだが、おじさんの服は風になびいている。
どこかに行ってしまったおじさん。
そのおじさんは戻ってきた。今度は自転車をどこかに置いたのか。徒歩である。じっくり目をこらして観察した。
服どころか頭も濡れていない。雨の中、晴れているように歩いている。
おじさんはそのままどこかへ消えてしまった。
私と彼女は、あの人はバリアがはれるんだな。バリアおじさんだ。と冗談を言った。
しかし、家に帰り、時間がたち冷静にあのおじさんはなんだったのかと不思議に感じた。
そんな不思議な体験をした夏であった。
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