「やまびこ」が呼び寄せたもの
投稿者:鯑 (3)
この話は、大学一年生の時の出来事である。
その年の夏、大学に入ってすぐに仲良くなった3人の友人と奈良県の奈良市内にある新たに「心霊スポット」として指定されていない不気味な場所を探そうということで、深夜1時に友達の運転で向かった。
僕たちはもちろん、せっかく夏休みがちょうど始まり、とても軽はずみな気持ちで決まったことだったので、特になにかが起きるとも思ってもいなく向かった。
運転をし始めてから約30分、人通りが少なく明かりも少ないトンネルを見つけ、ここで心霊現象が起きるかどうかを確かめることにした。
トンネルの近くには、山や川で囲まれており、かすかに小動物の鳴き声が聞こえる程度で、そのほかに不気味さを感じることはなかった。
唯一気味が悪かった点は、道の両端にガードレールがあったのだが、酸化しており、今にも崩れ落ちそうなくらいボロボロだった。
一人の友人がいきなり、せっかく来たのだからこのトンネルを往復で一度歩いてみようという提案をしてきたので、僕を含めた3人は、たいして何も起きないと呆れながらもすることにした。
実際に往復したが特に何も起きず、僕たちはこのまま帰るのももったいなかったので、山に囲まれているということで「やまびこ」は実際にするのか確認してみることになった。
まず初めに僕が普段ストレスに感じることを大声で叫ぶと、実際に「やまびこ」として返ってくる。
それに続き、二人目の友達も叫び、またその言ったことが返ってくる。
そして三人目が叫ぶとき、中学生の頃にいじめられていた女の子に対してモノ申した。
「〇〇死ね~」と叫んだとき彼が、ボロボロなガードレールに意図的ではなく誰かに押されたように、もたれかかり僕たちは焦って彼が崖下に落ちないように支えた。
その友達は「押すなよ」といったが、もちろん誰も押してないし、触れてもいない。その時は、立ち眩みで倒れかけたと思いこんで済ました。
しかし、夏休みが終わるころ、もう一度みんなで集合したときその彼から信じられないことが告げられた。
「あの時叫んだ女の子あの日の前日に、心臓麻痺で亡くなってたらしい」と。
僕はきっと彼に原因があったからこそ、いじめられていたのではと考えている。僕たちはあの日のことを忘れることもできない。
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