奇々怪々 お知らせ

特別投稿

礎吽亭雁鵜さんによる特別投稿にまつわる怖い話の投稿です

今日読む予定のSF小説
長編 2026/10/25 23:37 63view

全能の存在といえども退屈には勝てない。
一部の知性を持った存在が神とか上位存在のような表現をしているが、まったく私がどのようなものであるかを表現できていない。
指先一つ動かすことなくいくつもの世界を創造し、消滅させることができる。
0から宇宙を創ることもできるし、いきなりある程度出来上がった宇宙を最初から用意することだってできる。
その世界が5分前にできたなんてその世界の存在は誰も知覚できないが、そうすることだって容易なのである。

しかし何を創っても何をやっても達成感がまるで得られない。
なぜなら全能ゆえに何をするにも努力がいらないからである。
戯れに敵対する存在を作ったこともあるが、
183垓1796京725兆6350億8426万8549戦して、当然全勝してしまうので結局張り合いがない。

全能の存在であるのにも関わらず、自分の思うままにならないという体験は存在してこの方一度も味わったことがないのである。

一度で良いので苦労というものをしてみたいものだ。

————————-

「おい!起きろ!!」
頭を何かで叩かれて目が覚める。
どうやら勤務中なのにオフィスで居眠りをしてしまっていたらしい。
目の前には顔を真っ赤にしている課長がいた。
「仕事もせずに高いびきとはいいご身分だな、ええ?この給料泥棒が」
「す、すみません。少し疲れが溜まっていたようでして・・・」
「それは驚きだ、一体いつ疲れるようなことを君はしているんだね?」
課員のみんながくすくすと笑っている。

「あ、ええ、すみません、外回りに行ってきます」
「契約取れるまで帰ってこなくていいからな」
爆笑している課員たちを背後にそそくさとオフィスを逃げ出すように後にした。

3件ほど得意先を回ったものの新規の契約につながるようないい話はできなかった。
どうにも上手くいかないので、仕方なしにこうしてクーラーの効いた喫茶店でアイスコーヒーをカラカラとかき混ぜながら、5本目のタバコに火をつけ、暇を潰しているのである。

それにしても先ほどの居眠り中に見た夢はなんだったのだろう。
俺の思った通りに宇宙というか世界が何個もできたり壊れたり。
命のある世界にしたり、命のない世界にしたり、法則のある世界、法則のない世界、あらゆることが思うままだった。
今まで味わったことのないような全能感で満たされたような体験だった。
もしかして、俺は全能の存在の生まれ変わりだったりするのか?
あまりにも上手くいかない現実に毎日打ちのめされてきたせいか、そんな悲しい妄想に耽ってしまった。

1/3
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。