じゃあ、あの時、私が見つめ返していた“アレ”は、一体何だったのか――?
全身の毛穴が開くような鳥肌が立ち、冷や汗が吹き出した。
「寝ぼけていただけだ」「かすかな光を拾ったんだ」と必死に自分に言い聞かせようとしたが、胸の奥に生まれた気味の悪いモヤモヤはどうしても拭い去ることができなかった。
バスの車内でも、集まった部員たちに笑い話として話す気にはとてもなれなかった。そのモヤモヤは消化しきれない不気味な塊となって胸の奥に居座り続け、私は誰にもこの出来事を打ち明けることができないまま合宿所に到着した。
やがて過酷な練習や試合が始まると、目の前のプレイに必死になるあまり、昨夜の怪異は次第に思考の隅へと追いやられていった。誰にも話さないまま、記憶が少しずつ薄れていく――はずだった。
激しい練習と試合をこなし、くたくたになりながら合宿所へ戻った。
風呂と食事を済ませ、夜のミーティングが終わったのは夜の10時過ぎのことだ。
10人ほどが身を寄せる賑やかな大部屋。みんなで今日のプレーのことやバカ話をしながら談笑し、部屋へと戻ってきた。
私は自分の泊まり用のバッグから着替えを取り出そうと中を漁り、ついでに、その底の方に沈んでいたスマートフォンを取り出して、何気なく画面を開いた。
いくつかの通知が届いている。
その中に、あの「Aちゃん」からのLINEがあった。
夏休みに入ってから学校で会うこともなく、ここ数週間は連絡を取っていなかった彼女からのメッセージ。
「どうしたんだろう?」と思いながらトーク画面を開いた瞬間、私は息を飲んだ。周囲の賑やかな笑い声が遠のき、昨夜の冷や汗が一気に全身を駆け巡る。
画面にぽつんと表示されていたのは、たった一言。
『ねぇ、何かあった?』
あの夜、何も届かないはずの暗闇で私が見つめ返していたものは、本当に自分自身だったのだろうか。
そして、誰にも話していないあの数秒間の出来事を、なぜ一度も連絡を取っていなかったAちゃんが察知していたのか。
あの時、あの部屋に何がいたのか。
あるいは、今も何かが私の中に残っているのか。
それすら確かめるのが怖くて、私は今も、Aちゃんにあの夜の本当の返信を出せないでいる。
























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