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不思議体験

ハッピーちゃんさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

暗闇の中から
短編 2026/08/08 03:42 60view


私がまだ、幽霊や霊感なんてものを露ほども信じていなかった高校2年の夏のことだ。

​当時のクラスには「Aちゃん」という女の子がいた。彼女は入学当初から「霊感があり、人の守護霊が見える」と学内で噂になっている有名人だった。実際に話してみると明るく気さくで、私たちはすぐに仲良くなり、LINEを交換する間柄になった。

​事件が起きたのは、夏休みに入ってすぐのある夜だ。

​サッカー部に所属していた私は、翌朝早くから合宿を控えていた。
その夜は凄まじい熱帯夜。普段は「体に悪い」という監督の教えを守ってクーラーをつけずに寝ていた私だが、さすがに睡眠不足で翌日を迎えるわけにはいかない。

​「今夜だけは、思いきり冷やして寝よう」

​そう思い立った私は、部屋の2箇所にあるガラス窓を閉め、雨戸を叩きつけ、カーテンも隙間なく締め切った。冷気を一切逃がさない密閉空間を作り出し、エアコンの設定温度を「16度」にする。電気を消すと、そこは完璧な漆黒だった。かつて訪れた沖縄の防空壕を思わせるような、1センチ先すら見えない絶対の闇。少しの不気味さを覚えつつも、すぐに快適な冷気が満ち、私は深い眠りに落ちた。

​――どれくらい時間が経っただろうか。

​私は激しい「寒さ」で目を覚ました。

部屋があまりにも冷え切っている。暗闇の中でリモコンを探したが見つからず、一旦電気をつけようと体を起こした。
​部屋の構造は頭に入っている。壁のスイッチに向かって足を一歩踏み出そうとした、その瞬間だった。
​右側に、言葉にできないほど「嫌な気配」を感じた。
​体が硬直した。金縛りのように一歩も動けない。
恐怖と同時に、どこか冷めた自分が「これが噂の心霊体験か?」と少しワクワクしてもいた。時間にして数秒、いや数分だったかもしれない。闇の中でじっと佇んでいると、右側の嫌な気配はどんどん濃く、重くなっていく。

​逃げられない。

意を決して、私はパッと右側を振り向いた。
​そこには、ボヤッと浮かび上がる「人の影」があった。
​「ひっ……!」
心臓が口から飛び出るかと思うほど跳ね上がった。しかし、次の瞬間、私は安堵のため息をついた。

そこにいたのは、姿見(鏡)に映った自分自身だったのだ。鏡の中の自分が、これ以上ないほど間抜けに怯えた顔をしている。恐怖は一瞬で笑いに変わり、「なんだ、驚かせやがって」と一人で苦笑いした。
​私は電気をつけ、エアコンの温度を上げると、何事もなかったかのように再び眠りについた。

​異変に気づいたのは、翌朝、合宿の準備をしている時だった。
​「昨日の夜、鏡に映った自分のビビリ顔に焦っちゃってさ」
部活の仲間への鉄板のネタにしようと、昨夜の出来事を頭の中で反芻していた時、ある「あり得ない違和感」に突き当たったのだ。

​……待てよ。

​昨夜、私が鏡の中の「自分」を見たのは、電気をつける前だ。
雨戸も窓もカーテンも閉め切り、外からの光を100%遮断した漆黒の部屋。1センチ先も見えない暗闇の中で、なぜ「鏡に映る自分の顔」が見えたんだ……?
​光が存在しない場所で、鏡が物を映し出すはずがない。

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