誰も持ち出してないのに、札は減ってた。
言い切らずに、啓介は黙った。氷が溶け、グラスの底で小さく音を立てた。その音が、床をなでる音に似ている気がして、私は無意識に足を浮かせた。
そのとき、店の床に細い白い筋があるのに気づいた。椅子を引いた跡にしては、まっすぐすぎる。誰も触れていないのに、粉がわずかに広がっていた。
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