最初は、駅前の空きテナントだった。
いつの間にか看板が出ていて、
白地に、丸い文字でこう書いてある。
「導きの会」
宗教だとは思わなかった。
だって、やってることが妙に現実的だったから。
・悩み相談
・生活習慣の見直し
・人間関係の整理
・「正しい選択」の共有
近所のおばさんが言ってた。
「変な勧誘とかないのよ。
ただ、話を聞いてくれるだけ」
実際、誰も神の名前を出さない。
祈りもない。
お布施も、最初はなかった。
ただ一つだけ、共通していた言葉がある。
「それは、導きに沿っていませんね」
学校で、クラスメイトが変わり始めた。
遅刻しなくなった。
無駄話をしなくなった。
進路を迷わなくなった。
担任は褒めていた。
「最近、みんな落ち着いてるな」
でも、違和感があった。
全員、同じタイミングで頷く。
笑うところも、沈黙するところも。
誰かが意見を言う前に、
空気が先に「正解」を決めている。
ある日、仲のよかった友達が言った。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 0票


























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。