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意味怖(意味がわかると怖い話)

ただのタタリさんによる意味怖(意味がわかると怖い話)にまつわる怖い話の投稿です

妹の幸福のためなら
長編 2025/12/23 23:58 151view

昔ある村に、回りを嫌い嫌われものな女と対照的に回りを愛し愛されものな女がいた。
嫌われものは、愛されものと自分を嫌う回りの人間が憎かった。
だから、それら全てを不幸にできないかとある呪術師に相談した。
すると術師は気味の悪い笑みを浮かべ、それならちょうどいいものがあると、ある呪術を教えてくれた。
何でも夜中に焚き火をたき自身の血を火に垂らしながら、愛されものが幸福になる願いを言うと願いが叶う代わりに、代償として愛されものにとって大事な人が不幸になるというものだった。
それを聞いて嫌われものは機嫌を悪くしながら術に聞いた、回りの人間が不幸になるのはいいとして何故自分が愛されものの幸福を願わなければいけないのかと。
その質問に対し術師は、待ってましたと言わんばかりにより一層笑みを強めながら答えた。
「それこそが狙いさ、次づきと村人が不幸になっていくなか一人だけ幸福が続けば回りはいずれそいつが不幸の原因だと考え、その考えは憎悪へと代わる」
それを聞いて嫌われものは術師の意図を理解し笑みがこぼれる。
さらに聞くと、この呪いは一度幸福にされたものは、定期的に呪術で幸福を願われなければ永遠の不幸が当人を苦しめ続けるという。

つまりこの呪術を使えば回りの人間は不幸になり、愛されものは一転嫌われものになり、自分が呪術をやめれば自ずとあの女は永遠に不幸に苦しめられるということ。
あまりにも完璧すぎる呪術に嫌われものは高笑いしながら、すぐさま実行することにした。
夜中に焚き火をたいて血を垂らしながら、愛されものの幸福を願い見事にその願いは叶った。
これで全員終わりだ、そう思い大声で笑っていたその時だった
「ペチャッ」
なにかが頭の上に落ちた、一瞬体が固まりそっと手で頭に触れる。
それは鳥の糞だった、嫌われものはこれが意味することはなにかすぐに理解し全力で走り出した。
術師の元へつくと、怒鳴り散らすように術師を問いただした。
自分を騙したのか、それとも呪術が失敗したのか、返答次第では何をしでかすか分からないぞと言わんばかりの迫力だった。
しかし、術師一切怖じ気づくことなく淡々と言った。

「嘘など一つもついてないし、術も失敗していない」
それを聞いて、より嫌われもの怒りは増した、怒号のような声でさらに問い詰める。
ならなぜ私に不幸が訪れて、他のやつらは無事なのかと。
それを聞いて術師は呆れたようにため息をつきながら、聞き分けの悪い子供に説明するように無感情に言った。
「それは愛されものの大事な人間のなかにお前がいたからだろうが」
それを聞いて嫌われものは目を大きく見開きながら、言葉をなくした。
これまで嫌われものは誰かに愛されたこと何て一度もなかった、だからだろう嬉しさのあまり涙が溢れてしまいそうになるのは。
そして気づいた、もう既に愛されものに向けていた憎悪が消えていたことと、自分が取り返しのつかないことをしてしまったことに。
嫌われものはすぐに術師聞いた、呪術をなかったことにする方法を。
それを聞いた術師は今までで一番不気味でおぞましい笑みを浮かべてこう言った
「そんなものはないよ」
最後に一枚の絵が描かれていた。

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