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心霊

太田 馨さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

居るはずの無い子
長編 2025/02/01 18:57 376view

自分が小学生の頃に体験した話です。
私の通っていた小学校はとても小さく、
全校生徒は50人と少しくらい。
更に同級生に至っては2人しかいなかったので、
ひとつ上の学年とくっついて1つのクラスを
作っていたほど生徒数がありませんでした。
そんな学校ですから、運動会や学芸会と言った
これぞ学校。というイベントも盛り上がらず
味気の無い小学校生活を続けて4年。
ついに他とは一味違う行事がやってきました
それが宿泊学習というイベントです。
確か、青少年自然の家。みたいな
山の中の施設で何泊かして、キャンプファイアや
森林オリエンテーション、自炊などをして
皆で協力して楽しもうという具合のイベントです
かといって施設を貸切に出来るような予算は
ありませんから、私たちの学校の他に2校
別の小学校も同日にその施設を使っていましたが
そんな事を退屈しきっていた私たちは気にもせず

他の学校の子にも話しかけ、一緒に遊んだり。
クラスメイトと料理をし、夜には遅くまでUNO。
全ての経験が楽しく、輝いて見えたのです。

施設に泊まって2日目の夕方の事でした
他の2校は1泊2日だったので、惜しみながらも
生徒たちは皆、送迎のバスに揺られ、帰宅。
ですが私の学校は2泊3日だったので、
施設を実質的な貸切状態にしたのです。
ですが、ここで施設にとある問題が起きました
3校全てが2泊3日だと施設は思っていたらしく
2日目の夕食のバイキングは、明らかに分量を
オーバーした料理の山がありました。
「少しだけでもいいから、おかわりしてくれ。」
班に分かれて食事をしている生徒たち1人1人に
担任が切実に声を掛けているのを見て
超がつくほど少食の私も、得意な料理なら
もう少し食べられるだろうと席を立ち
バイキングの元へと足を進めました。
パスタやらハンバーグをちょこちょこ取って

さて、自分の班に戻ろう。とした私でしたが
視界の横に何かが映った気がして、
食堂と廊下を隔てるガラス戸に目を向けました。
すると、廊下の真ん中には私と同じくらいの
少年が、よれた服でぼーっとこちらを
眺めているのが目に入ったのです。
全校生徒の顔を覚えていた私は、
少年がうちの生徒では無いと分かりました。
ですが、当時は幼すぎた。
他校の生徒がバスに乗りそびれたのだと思い
手招きで「食堂に来なよ。」と
私は少年に訴えかけてみました。
すると少年はしばらくこちらを見ると
首を横に振り、手前の階段を下りていきました。
確か、食堂の下にも宿泊スペースがあった。
少年はそこで一人ぼっちなのかもしれない。
よせば良いものを、私はよそった料理を戻し、
食堂を出て、少年を追いかけるように
階段を早足で降りていったのを覚えています。

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