新聞を運ぶ、老人宅の人形

こんな不思議な話がある事をご存じだろうか・・・

ある所に独り暮らしの老人男性がいたそうだ

新聞配達をしている方が、毎日郵便受けに入れる新聞も自分で取っており

それで、無事の確認みたいな事だった

でも、近所に住んでる方の話しではその老人は数か月前から体が弱っていて

寝たきりに近い生活をしているらしい・・という話であった

そうなると、普通こういう時って郵便受けに新聞が溜まったりする事がある

しかし、不思議な事に・その老人宅に限っては・そうならず郵便受けは空っぽだった

身内や家族が居ない・・ましてや寝たきりの老人が・どうやって郵便受けに入った

新聞を取っているのだろうか・・・

「そうだ・・新聞は、たぶん介護ヘルパーの人が取っているんだろう」

近所の人達は、そう考えていたのだが、その老人はヘルパーさんも雇っていない

という話であった・・そうなると一つの疑問が残る

一体、誰がその郵便受けから新聞を取っているのか・・という事だ

その老人の方、お人形をとっても可愛がってる人であった

一人の方が、冗談半分で・こんな事を言った

「人形が新聞取って老人の枕元まで運んでるんじゃないか・・」

そんな話をしていたのだが・・その中の一人のおばさんが好奇心にかられた。

朝早く、ちょうど新聞配達の時間帯に老人宅の少し離れた場所から見張っていた

新聞配達員が、郵便受けに新聞を入れた後の事である

何と、実に・ゆっくりではあるが新聞が中へと入り始めた

「やはり、何者かが新聞を取っている」

確信を得た、おばさんは更なる好奇心に駆り立てられた

何と、老人宅の玄関へ駆け寄るとその新聞をパッ・・と握りしめた

そして、手元へ軽く引っ張ったのである

すると、しばしの間姿の見えない相手と新聞の取り合いに興じたが

突然、その新聞を引く力がスゥーーッ・・と一瞬弱まった

その刹那、おばさんは郵便受けから新聞を自分の方へと抜き取った

それから、おばさんは郵便受けの隙間から恐る恐る・・家の中を覗いて見た

その瞬間・・「バァーーーン!」・・とおばさんの顔めがけて人形が飛んできた