トトロはあながち嘘ではないのかも

このお話は、私（K）、A（従姉妹）Mの三人が代表的な登場人物です。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

まぁ不思議な体験なんていくらでもある世の中だ。

幼いころは人間以外の存在が怖かったが、今となっては生きてる人間のキチガイが一番怖い。

私は家系柄、少し人外のものが見えやすい体質だった。

というのも、私の家系の宗家は、先祖をたどると「安倍晴明」に当たる。日本一の陰陽師で、式神を華麗に使うことが派手で目に映りよいため、ゲームやアニメによく使われるあの人である。

仮に、その宗家の家系を「橋下家」とでも言っておこうか。（〇家とかでも良かったが、〇っていちいち打つの割とめんどいのだ）

幼いころ、橋下家のテレビで、アニメ「銀魂」の、「結野編」を見て、あの面白おかしい系にリメイクされている晴明さんを見たおばあちゃんが苦い顔をしていたのはいい思い出である。

この橋下家、もちろん京都にあるのだが、私たち分家の家系は、毎年正月になると一週間程度、京都の橋下家に集まっていた。

何で稼いでいるのか正直ピンとこないが、さすが安倍晴明の直系なのか、やはり家も立派で、映画「サマーウォーズ」のおばあちゃんちみたいであった。もちろん、晴明さんを祀っている部屋もあったし、晴明さんが実際に使っていた服とか烏帽子とか占い道具？のようなものも保管されていた。これ晴明神社とかに保管してもらうもんじゃないのか～なんて思っていた。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

私が２０歳になるころ、また毎年のように正月は京都に集まっていた。橋下家には、４歳になる男の子がいる。この子をM君としよう。この子の親に当たるのが、私と同い年の従姉妹のAである。Aは、幼いころ私が初恋をしてしまったほどのとびっきり美人なのだが、高校生の時少し悪い人たちと絡んでしまい、１７歳の時に妊娠してしまっていた。残念ながら私と同い年で、シングルマザーに励んでいた。当時大学生だった私は、若くして子供を育てるなんて大変だなと思っていた。

そんなM君、頻繁におかしなことを発言する。トイレに行ったのに、用を足さずに戻ってきたかと思えば「トイレでポポ様が泳いでるから今はできなかった。」と言ったり、突然カーテンの一部をじーっと眺めたりするのだ。Aと私は「不思議な子だね～」なんて言ってM君にかまってあげていた。

ある日、そういうM君の様子を見た私の親が、「Kも昔、同じようなこと言ってたよ」という。

え、私がM君と同じ行動とってたの？と少し驚いたし、普通に気味悪いなと思っていたが、Aの母親が「K君の幼いころの行動、ビデオに残ってるわよ。」と言ってきた。

正直薄気味悪いのであまり見たくなかったが、ビデオを見てみると、

私が笑顔で「トイレで泳いでるおじさんが僕のギャグ笑ってくれた！」と言っていたり、M君が見ていた場所と全く同じカーテンの位置をジーっと眺める私の姿が映っていた。

今のM君と全く同じ行動をとっている。

うわー絶対何かいるじゃんこの家、と思って気味悪がっていたところ、Aのおばあちゃんが

「古くからお家を守ってくださってる神様たちだよ。」という。

式神なんてホントにいるんだな、と感心した。

子供の時にだけ、あなたに訪れる不思議な出会い。

トトロのフレーズってあながち間違いじゃないんだなと思った。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

その夜、次の日が正月休みの最終日だった私は、

M君に「明日こだま様が会いたいって言ってるから一緒に来て！」と言われた。明日の最終日は、従姉妹のA、従姉妹の友達のB、私の三人で、京都の河原町まで遊びに行く約束をしていたものだから、M君の誘いは断ったのだが、M君はなんだかとても悲しそうにしていたので気になってしまった。

そこで、「来年の正月も来るから、その時こだま様に遊んでもらおうね」なんて言ってごまかした。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

翌年の正月がまたやってきた。

M君は５歳になった。一番やんちゃが盛っててもいい年ごろだと思うが、去年のやんちゃ具合はどうしたのか、なんかシャイボーイになって、ママであるA以外にはなんだか恥ずかしそうにする子になっていた。