憑依体験
投稿者:ゾディア (1)
私が中学生の時に体験した出来事です。
と言っても私自身は全く覚えていないのですが。
この話は母から聞きました。もうアラサーになった私ですが、2年ほど前に母から「そういえば」と打ち明けられたのです。
毎年夏休みに、両親と私、弟の家族4人で近畿圏内の海へ家族旅行に行っていました。
その年もいつものように海で遊んだ後、毎年宿泊しているホテルへと向かいました。
父と弟、母と私で2部屋予約していたのですが、私たちの泊まる部屋に入ると、母が妙な顔をしていたのを覚えています。
ホテルで夕食をとり、部屋に戻って就寝の支度をしていた時も母は少し居心地悪そうにしていました。
海で遊んで疲れ切っていた私は、ベッドに入ると早々に寝てしまったので、これから先の話は数年後に母から打ち明けられた出来事です。
私がぐっすり眠っており、母はテレビを見ていたそうです。
深夜になり、母もそろそろ寝ようとテレビを消そうとした時でした。
隣のベッドで眠っていた私が、急に上半身を起こしたそうです。
こう書くとあまり違和感ないのですが、普通人が寝ている状態から起きる時ってゆっくり起きるものですよね。
「うーん」ともごもご言いながら、眠そうに目を半開きにして、まず手や肘をベッドにつけて力を入れて上半身を起こすものだと思います。
しかし私はまっすぐ、何の予備動作もなく上半身をぐんっと起こしたそうです。
隣の母はびっくりして、それでも急に娘が起きたものだから何かあったのかと思い、どうしたのかと声をかけました。
すると私は「喉が渇いた」と言ったそうなのですが、母いわく、私の声ではなかったと後に言いました。
私自身、方言のある地域出身なのですが、喉が渇いたの言い方も普段とは違い、私の体の声帯から出ているはずなのに、全くの別人の声のように聞こえたとのことでした。
どうやら母は、部屋に入った時から何だか少し気味が悪い部屋だなと思っていたそうなのですが、その時にもしや娘(私)の中に何か入ってしまったのではと思い焦ったそうです。
なるべく刺激しないように、妙に思っていることがバレないように普段通りに声をかけ、お茶を飲ませると、私はそのまま後ろにバタンと倒れてまた眠っていたとのことでした。
もちろん私は何も覚えていません。
翌日以降も母は私に何も言わず、家族旅行は無事に終わって、結局母からそのことを聞いたのは10年ほど経ってからでした。
そのホテルは新しく、特に曰くのある土地ということでもなく、海から何か拾ってきてしまったのか、真相は謎に包まれたままなのですが、知らないうちに何かに取り憑かれていたという話でした。
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